禎心会PICKS

脳卒中センター 谷川 緑野 センター長に
「脳卒中センターと脳血管疾患の治療について」
お話していただきました。

当院の脳卒中センターは、約20名の脳神経外科医でチーム編成され、主に札幌市全域並びに近隣の地域・救急医療に貢献するために24時間体制で患者さんの受け入れをしています。緊急を要する手術が必要な場合は、1時間以内に開始できる体制を整えています。
2012年4月、脳卒中センター長として谷川が赴任後、学閥に関わらず全国から多くの若手の脳神経外科医が当院の研修を希望し、技術のみならず、その根底にある精神を学ぶため、日々研鑽を積んでいます。また、国外からも手術を学ぼうと留学する若手脳外科医が増え続け、これまで世界30数ヵ国から200名以上の医師が研修に励んできました。
海外に招聘され手術や講演することも多く、当院における治療技術を日本から世界へ発信しています。2010年より、ヘルシンキ大学脳神経外科などヨーロッパをはじめアジア諸国や南米などからも手術要請を受けています。
目の前の患者さんを全力で救っていきたいのと同時に、真の患者さん想いの医師を育てたいという気持ちも強く持ちながら、日々の診療を行っています。

当院の脳神経外科では、頭蓋底外科技術※と血行再建技術※を融合した安全で質の高い手術を提供しています。脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血などの脳卒中に加え、未破裂脳動脈瘤や脳腫瘍などの中枢神経系疾患の治療・手術も多く実績があります。治療が難しいとされる巨大脳動脈瘤や血栓化動脈瘤、解離性動脈瘤といった血管障害や頭蓋底腫瘍などにも対応し、最新の高度脳神経外科治療を行っています。

※頭蓋底外科…顔⾯・頭部の最も深い部分にある頭蓋底と呼ばれる部位にできた腫瘍や動脈瘤などの疾患に対し、手術を行う。疾患部位まで繊細な血管と複雑な神経が絡んでいるため、高度な知識と技術が必要となる。
※血行再建術…病気により損傷を受けた脳血管を作り直したり，新たにバイパスを作成し脳への血流供給を維持するための手術技術

脳神経外科に必要だと私が思う資質は、「ハート」です。ちょっと手先が器用だとか、頭が良いということは実はあまり関係ありません。本当に「患者さん想い」であること、「人を相手にしている」ことを忘れずに優しくできる人間が良い脳神経外科医になり得ます。
人に優しいということは、手術も優しくできるということです。優しい手術をするためには、どうすれば良いかというモチベーションをずっと維持することにもつながります。
脳血管障害の高度な外科的治療に加え、脳血管障害の原因となる患者さん個々の生活習慣や食生活の改善についての適切な指導を行っています。脳神経外科手術という狭い範囲だけの診療ではなく、患者さんの人生に役に立てるよう心がけています。

脳卒中の主な症状は、急な激しい頭痛はもちろん、片方の口が垂れ下がるなど顔の見た目に普段はない左右差がある、言葉がでない、ろれつがまわらない、両手を前に出して目を閉じると片方だけが下がってしまうなどに加え、時には意識障害を起こすこともあります。脳卒中が疑われる症状があった場合、ご本人やご家族、周囲の人が救急車を呼びましょう。発症から初期対応までの時間で後遺症の度合いやその後の生活への影響が変わります。
当院では、今後も地域・救急医療に貢献し、助けられる命を増やしていけるよう、更なる診療の充実に努めてまいります。

脳卒中は発症から治療までの経過時間が後遺症の度合いやその後の生活へ大きく影響します。

脳梗塞の治療は3時間以内の対応が不可欠と言われています。

こんなときは、すぐに救急車を呼びましょう！