脊髄電気刺激療法
痛みの感覚は、痛みの信号が神経から脊髄を通って脳に伝わってはじめて「痛い」と認識されます。脊髄に電気刺激を与えることで痛みの信号が脳に伝わりにくくなり、痛みがやわらぐと考えられています。実際は、痛みのある部位に心地よい刺激が重なることで痛みがやわらぐと言われています。
脊髄刺激療法とは、脊髄に微弱な電気を流すことにより、痛みをやわらげる治療方法です。この治療では試験的に刺激を行い(トライアル)、 効果を確かめます。効果がある場合に、刺激装置などの機器一式を植込みます(本植込み)。本植込みにより、患者さんご自身が刺激装置を操作し、いつでも自分で痛みをコントロールすることができるようになります。痛みをやわらげることで、日常生活の活動の幅を広げることを目的としています。
脊髄刺激療法は、神経の異常による痛みや血流障害による痛みなどにおいて、通常の痛み治療(薬物療法や神経ブロックなど)にて改善がみられない慢性難治性の痛みに効果があります。
- 脊椎手術後の痛み
- CRPS(複合性局所疼痛症候群:ケガなどがきっかけで、傷が治癒した後でも続く痛み)
- 末梢血管障害(閉塞性動脈硬化症、バージャー病、レイノー病など)による痛み
- 脊椎・脊髄疾患(脊柱管狭窄症など)による痛み
- 帯状疱疹後神経痛
- 幻肢痛
- 脊髄損傷後の痛み
脊髄刺激療法では、電極リードを試験的に皮膚から針を通して挿入し、試験刺激期間中(1週間程度)に患者さまご自身で効果を判定します(トライアル)。効果が確かめられた場合、体内に電極リードと刺激装置を植込む手術を行います(本植込み)。本植え込みの場合、2週間程度の入院が必要です。