PET Q&A
正しい知識を持って、より良い検査を受けていただくために
全国でたくさんのPETドックが行われています。中には効果だけを宣伝し、正しい情報が伝えられていないことがあります。当院では皆さまに正しい情報をお伝えし、より良い検査を受けていただきたいと願っています。ご不明な点などがございましたら、お気軽にお問い合せください。
PET
PET検査ってなんですか?
多くの方はレントゲン写真を撮った事があると思います。レントゲン写真は、X線という放射線を身体にあてて写真を撮ります。CTという検査を聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。CTは、このX線を用いたコンピュータを使って身体の輪切り写真を作る装置です。また、MRIという機械もあります。これは磁石の力を借りて、X線を使うことなしに身体の断面をみることができます。 それではPETはどうでしょう。PETは放射線をだす物質を身体の中に入れて、身体から出る放射線をカメラでとらえ身体の断面像を撮る方法です。PETは従来、大学や研究機関で脳の血流や身体の中の代謝の研究をするために使われてきましたが、ブドウ糖によく似たFDGという物質ががんによく集まるということがわかってから、たくさんの病院で患者さまのためのPET検査が行なわれるようになってきました。 PETとは、Positron Emission Tomography(ポジトロン エミッション トモグラフィ 和訳:陽電子放射断層撮影)の略です。 |
PET検査で何がわかりますか?
ひとことでPET検査と言っても、いろいろな検査の仕方があります。ここでは当クリニックで行っている、FDGという薬を使った検査の説明をします。 FDGはブドウ糖によく似た物質です。FDGは身体の中のブドウ糖の代謝をみるために使われてきましたが、がんにもよく集まることがわかってきました。がんは活発に自分の細胞を増やして大きくなります。そこで、たくさんのエネルギーが必要となるためにたくさんのブドウ糖が集まるのです。 がんに対するFDG検査に関しては、たくさんのデータがでています。他の検査で見つかった腫瘍のがんの可能性はどのくらいか、がんの広がりはどのくらいか、再発しているか、行っているがんの治療の効果が出ているか、等といった事にFDGは大変役に立つことが報告されています。 これらのデータをもとに、がんを見つけるがん検診にFDGが使えるのではないかと考えられ、PETを用いたがん検診が行なわれるようになりました。 |
放射線の害はないですか?
PET/CT検査での被ばく量は5~8ミリシーベルト程度と考えられます。通常のCT検査と同程度です。被ばくを心配される方もいらっしゃると思われますが、通常の放射線検査で体に変調をきたすようなことはありません。ただし、将来のがんの発生については非常に低い確率ですが、ゼロではありません。ですから、放射線検査の是非はそれによって得られる利益と放射線による発癌の危険性を天秤にかけて評価するしかありません。たとえば、現在癌にかかっていて、その治療に必要な情報を得るための検査であれば、遠い将来に起こるか起こらないかわからない発癌の危険性を心配するのは無意味です。また、若い人が病気もないのにむやみに放射線を使った検査をするのは考えものです。もちろん、そうであっても発癌の危険性は非常に小さいと考えられます。 PET検診については、それによる利益と発癌の危険性を天秤にかけた場合、50歳以上であれば利益が勝ると計算されています。 |
PET検査はどのようにして行われますか?
まず、食事や糖分の入った飲み物の飲食は検査の6時間前から止めていただきます。 撮影の前に、血糖値を確認するために採血をし、問題がなければFDGを静脈注射します。注射の後はお水を飲みながら1時間ほど安静にしていただきます。時間になりましたら装置のベッドに寝ていただき、20~30分間写真を取ります。この後、写真の確認をするまで、更に30分ほどお待ちいただきます。なお、2回目の撮影をすることがありますが、これは必ずとも悪いところが見つかったからではなく、判断のつかない薬の集まりがあった時、時間をおいて形が変わるか確かめるために行います。 所要時間は約2時間半です。 |
保険診療
PET検査は健康保険が使えますか?
現在、PET検査は保険適用になる病名、状態が限られています。 詳しくはお問い合わせください。 |
現在がんで治療中ですが、どのようにすればPET検査を受けられますか?
現在、治療中の主治医から紹介が必要です。先ずは主治医より検査予約を取っていただきます。その際に病気の状態などを詳しくお聞きし、PET検査の保険適応範囲に準じ保険適応になるかを判断いたします。 |
過去に肺がんで治療し、主治医には再発等の心配は無いと言われていますが、心配なのでPET検査を受けてみたいです。健康保険は使えますか?
現在、肺がんは保険適用となる病気の一つですが、「他の検査、画像診断により病期診断、転移・再発の診断が確定できない」という状態の患者様しか保険の適用はありません。 したがって、過去に肺がんで治療していても、他の検査で再発等の疑いがない場合には保険適用とはなりません。 |
現在治療中の主治医の紹介でPET検査を受けることになりましたが、結果はすぐに聞けますか?
当クリニックでの結果説明はありません。結果はご紹介いただいた主治医へお送りしますので、主治医よりお聞きください。結果は、検査日の3〜4日後に主治医のもとにお届けしております。 |
健康保険が適応となる場合、PET検査の費用はどれくらいかかりますか?
1割負担の場合10,000円前後 2割負担の場合20,000円前後 3割負担の場合30,000円前後 必ず健康保険証をお持ちください。 |
ドック
PETを使ったがん検診は役に立ちますか?
一度に全身をみることができるため、単独の検診でひとつひとつの臓器について調べるよりは大変効率がよいといえます。 発見されたがんは多岐に渡っていますが、肺がんや甲状腺がん、大腸がんなどが多く見つかっています。苦痛がなく、思いがけないがんが見つかったり、症状がない比較的早期のうちに見つかるので、多くの方から支持されています。 |
PET検診ですべてのがんが見つかりますか?
これは多くの方が誤解されていることのひとつです。PETは多くのがんに有効で早期のがんを見つけることも多いのですが、残念ながら不得意なものもあります。まず、小さなもの、特に1cm以下の腫瘍は機械の限界で写らないこともあります。したがって、超早期のがんを見つける事ができるということはありません。また、FDGを取り込まないがんもいくつかあります。甲状腺がんの一部、ある種の肺がん(高分化型腺がんと呼ばれるものです)、肝がんの一部、多くの胃がん、多くの腎がん、尿管がん、膀胱がん、前立腺がんの一部などです。こういうものはかなり大きくなっていても見つけられないことがあります。 また、脳腫瘍は保険適応にもなっている疾患のひとつですが、正常の脳にもよくFDGが取り込まれるため、正常の脳と腫瘍の区別がつかないことが多いのです。この他にも、有効と言われているがんでもうまく写らないことがあります。 そこで、それらのがんを見つけるためには他の検査を組み合わせることが必要となります。当クリニックのPETドックでは、できるだけ見逃しのないようにMRI、CT、超音波、腫瘍マーカーを組み合わせています。 |
PET以外の検査ではどのようなことがわかりますか?
当クリニックのPETドックでは、MRI、CT、超音波、腫瘍マーカーの検査を組み合わせています。 MRIではお腹と骨盤の検査をし、PETで見逃されやすい肝がんや腎臓がんを見つけます。男性は、PETでは見つかりにくい前立腺がんを見つけることを目的にします。また、女性の卵巣がんや子宮がんはPETでも見つかりますが、MRIでも探します。 CTでは肺を撮影し、小さな肺がんやPETで見逃しやすい種類の肺がんを探します。 超音波では甲状腺がんを探します。甲状腺がんもPETで見逃すことのあるがんです。 この他、尿検査では腎臓がんでよくある血尿がないかを調べます。便検査も行いますが、これは大腸がんで便に血が混じることが多い為です。 また、血液検査では各種の腫瘍マーカー(がんになると増えてくる物質)を測定し、がんの兆候がないかを調べます。肝がん、消化器がん(胃がん、大腸がん、膵がん)、乳がん、卵巣がん、子宮がん、肺がん、前立腺がんなどのマーカーを調べます。 |
PETドックですべてのがんが見つかりますか?
このドックで、ほとんどのがんが見つかると言ってよいと思いますが、胃がんの発見にはやはり、内視鏡やバリウム検査が必要です。また、子宮頚がんは細胞診が有効ですし、乳がんにはマンモグラフィというレントゲン撮影の方法が有効です。 がんを見つけるにはいろいろな方法があります。ただ、そのすべてを受けることは難しく、すべてを受けたとしても100%がんを見逃さないとは言えません。自分の生活やどんながんになりやすい家系かなどで検査を選択し、できる範囲でがんの発見率を100%に近づけるしかありません。そういう意味で、当クリニックのPETドックはそのお手伝いができるものと確信しています。 |
PET検査だけのドックはありませんか?
中にはPET検査だけ受けられれば良いと言われる方もいらっしゃいますが、PET検査だけのドックは行っておりません。 当クリニックのPETドックでは、できるだけ見逃しのないようにMRI、CT、超音波、腫瘍マーカーを組み合わせた検査を行っております。PETは多くのがんに有効で早期のがんを見つけることも多いのですが、残念ながら不得意なものもあります。PETで不得意ながんを見つけるためには他の検査を組み合わせることが必要です。 PETドックに関するお問い合わせ |