認知症緩和ケア教育プログラム(JSCI)

認知症緩和ケア教育プログラムについてABOUT

ご挨拶

インストラクター 笹田洋子

当施設では、スウェーデン財団法人「シルヴィアホーム認知症緩和ケア教育プログラム」の理念を基に看護・介護を行っています。
なかでも認知症緩和ケアの補完的な手法の一つとしてスウェーデンで確立されているのが「タクティール®ケア」です。
「タクティール®ケア」は「触れる」を意味し、認知症やがん患者に優しく触れる事で不安や痛みを和らげる効果とコミュニケーションの一つの手法として期待され、現在では知的、精神的、身体的障害、難治性疾患など多くの現場で活用されるようになりました。
当法人介護事業では、この手法を学び日々の認知症ケアに取り組んでおります。

2007年5月から、日本スウェーデン福祉研究所の指定を受け、北海道内で「シルヴィアホーム認知症緩和ケア看護・介護教育センター」として研修事業も行っており、これまで研修回数は115回開催しました。

私は2009年よりスウェーデン財団法人シルヴィアホーム認定インストラクターの資格を受け、現在法人職員はもとより全道の看護・介護事業者の講習等を行っております。今後も「タクティール®ケア」の普及とご利用者のQOLの向上を目指していきたいと思っております。

スウェーデン王立財団「シルヴィアホーム」認知症緩和ケア教育プログラム

緩和ケアについて

WHO(世界保健機構)は1990年、「緩和ケアとは、治癒を目指した治療が有効でなくなった患者に対する積極的な全人的ケアである。痛みやその他の症状のコントロール、身体的、精神的、社会的、そして霊的な問題の解決が最も重要な課題となる」と定義しました。
「緩和ケアの目標は、患者とその家族にとってできる限り可能な最高のQOL(生活の質)を実現することである。末期だけでなく、初期の患者に対しても治療と同時に適用すべきである」と、その目標を設定しています。
緩和ケア(Palliative Care)はラテン語のパリウム(Pallium)に由来し、「マント」という意味です。ホスピスはラテン語の「ホスピティウム」に由来し、「暖かく迎える」という意味です。
イギリス、アメリカなどの英語圏は、ホスピスケア(Hospice Care)という言葉を使用し、カナダなどのフランス語圏、あるいはスウェーデンなどの北欧では、緩和ケア(Palliative Care)という言葉を使用しているのが一般的です。このように、緩和ケアとホスピスケアはほぼ同じ意味を持っています。しかし、緩和ケアという場合、症状を緩和していくという考え方が前面に出されている点で、ホスピスケアと微妙な違いがあります。
日本においては、平成2年(1990)に厚生省(現在の厚生労働省)が診療報酬に「緩和ケア病棟入院料」を設けてから、ホスピスという呼び方よりも、緩和ケアという呼び方が多く用いられるようになってきました。
末期のがん患者やエイズ患者など、死を間近に控えた患者に対する末期医療については、無理に命を延ばすことを目的とする治療よりも、心身の苦痛や不安をできるだけ軽くし、残された人生の質を高める援助に重点を置く必要があり、患者の人間としての尊厳を守る医療の見直しが社会的に求められるようになりました。
つまり緩和ケアにおいては、もう医療的に完治することができない病気であると分かった時、それ以降は不必要に延命的なケアを行わずに、患者やその家族を1つの大きなマントですっぽりと包んでしまうような全人的ケアを行い、患者やその家族に可能な限り最高のQOLを享受してもらうことを目標にしています。
そして、スウェーデンの高齢者福祉では、今までがん患者などの末期症状において行われていたターミナルケアの概念を広げ、認知症ケアにおいても緩和ケアで患者や家族を包み込むようになりました。
スウェーデンの緩和ケアでは、治療が不可能になった疾患を抱える患者および家族のQOLの向上のために、医師、看護師、ケアマネージャーやその他の介護職員と家族が協力するチームによってケアが行われ、そのケアは、患者と家族が可能な限り人間らしく快適な生活を送れるように提供されています。

コース紹介CORSE

ケアスタッフのための初級コース

認知症ケアと緩和ケア理念

認知症症候群の一般的な原因、さまざまな症状を取り上げ、認知症患者のケアに従事しているスタッフとしてどのように対処できるか、対応の仕方やコミュニケーションなどについて解説します。
患者家族についての理解も深め、どのように支援できるかについても学びます。
介護ケアが機能するためにはチームを組んで仕事をすることが要求されます。これらはシルヴィアホームにおける「緩和ケア理念」を反映しており、その理念と実践から体系付けられています。

午前カリキュラム 「日本の認知症ケアの現状と、スウェーデンから学ぶもの」「緩和ケアの理念」
午後カリキュラム 「認知症と、異なる認知症疾患」「認知症の旅」「認知症症状 - 認識的、記憶と見当識」「認識的、実行能力、言語・計算能力、思考能力、失行と失認」「精神的、行動的、身体・生理的」「栄養摂取と失禁、活動」「認知症における終末期のケア」
授業料 24,200円(税込・1日・昼食付)
時間 9:30~16:30
定員 20名

タクティールケアの理論と実践

タクティールケアの理論と実践

タクティールとはラテン語で「触れる=タッチ」という意味ですが、手足あるいは全身に対し痛点を刺激することなく手で触れ、興奮状態や不安感、痛みなどを緩和する画期的な方法です。
この技法はスウェーデンにおいて実践、理論付けられており、ケアを行う側と受ける側とのコミュニケーションや身体を通しての認知力も促します。
そのためスウェーデンでは緩和ケアの補完的な手法の一つとして広く使われているほか、重度の障害者に対しても用いられます。

イントロダクション
コース

手・足・背中の3部位受講のみのコースです。認定資格を必要としない方、ご家族、知人のみの施術に限られる方向けのコースです。

スタンダード
コース

手・足・背中の3部位を受講し、あらゆる方に実施可能な認定取得を目指すコースです。

アドバンス
コース

手・足・背中の3部位を受講し、認定取得後、有料施術が可能となるコースです。認定取得後、3時間のセラピスト登録研修を実施します。

概要

第1日目カリキュラム 「タクティールケアの理論と実践」
【午前】「タクティールケア理論」
【午後】「背中のタクティールケア」「手のタクティールケア」
第2日目カリキュラム 第2日目「タクティールケアの実践」
【午前】「足のタクティールケア」
【午後】「三種のタクティールケア復習」「質疑応答・ディスカッション」
イントロダクションコース(受講のみ) 33,000円(税込・2日・昼食付)
スタンダードコース(受講+認定取得料) 55,000円(税込・2日・昼食付)
アドバンスコース(受講+認定取得料+ライセンス料) 110,000円(税込・2日・昼食付)
+セラピスト登録研修5,500円(税込み・3時間)
時間 9:30~16:30
定員 20名(最小催行人数:3名)

タクティールケアⅡコース

タクティールケアの応用

「タクティールケアⅡコース」では、「タクティールケアⅠコース」で学んだ理論と手技を基に、腹部・頭・顔へのタクティールケア施術法を学びます。
本コースは「タクティールケアⅠコース」の応用編として、多様な手技、ならびにより進んだ理論の下、保険・医療・福祉の分野における導入と活用法について学びを深めることを目的としています。

第1日目カリキュラム 「タクティールケアの理論と実践」
タクティールケアⅠコース手技確認 タクティールケア理論Ⅱ
腹部のタクティールケア:実技演習 頭のタクティールケア:実技演習
第2日目カリキュラム 第2日目「タクティールケアの実践」
顔のタクティールケア:実技演習 三種のタクティールケアの復習
タクティールケアの活用について まとめ
授業料 受講+認定取得料 88,000円(税込・2日・昼食付)
時間 9:30~16:30
定員 6名