臨床工学科
部門紹介
臨床工学科 科長
城宝 貴志
臨床工学科は12名の臨床工学技士が在籍しています。臨床工学技士は医師の指示の下に、生命維持管理装置の操作及び保守点検を行う事を業とする医療機器の専門医療職種です。医師や看護師、他の医療従事者と協力しチーム医療を推進し、患者さんへのサービスに専念し業務に取り組んでいます。
業務内容
医療機器保守管理業務
当院では医療機器保守管理計画に基づいて医療機器の点検や保守などを行っています。
輸液ポンプや人工呼吸器など約800台の医療機器を管理し、病棟トラブル対応や定期点検、部品交換を実施しています。現在は医療機器管理システムの導入を進めており、より効率的かつ安全な運用を行えるよう取り組んでいます。
また、医療機器を取り扱うスタッフに対して、安全使用のための定期的な研修会や依頼に応じた研修会や情報提供を行っています。
1. 機器管理業務 / 保守点検業務
- 医療機器の貸出 / 返却
院内で使用される主要な医療機器を中央管理し、各部署への貸出や返却を行い、医療機器の有効活用をしています。 - 医療機器の保守点検
MEセンターでは返却された医療機器の使用後点検や定期点検などを実施しています。
また、院内で発生した機器の修理やトラブルを受付し対応しています。
医療機器の保守点検を行うことで、安全に機器が使用されるように努めています。 - 医療機器や医療材料の検討
医療機器の購入や更新などの際に機能面や安全面などを把握し、当院に適した機器の選定を行っています。また、購入 / 更新計画策定や医療材料の見直しを行うことでコスト削減に貢献しています。
2. 医療機器安全管理研修の実施と情報発信
当院の医療従事者を対象として医療機器の操作や使用する上での注意点や危険性などに関する説明会の計画と実施を行っています。
また、医療機器の安全使用に有益とされる情報の発信も合わせて行っています。
手術室業務
手術室では機器の管理や術中の機器操作を行っています。
―― 麻酔器や手術用顕微鏡など、手術で使用する機器の手術前点検を実施し、安全に使用できる状態であることを確認しています。
―― 術中に発生した機器トラブルに対し点検を実施、メーカー修理が必要な場合は修理連絡や代替器の手配、修理完了後の使用点検を行っています。
―― 脳神経外科で使用されるナビゲーションシステムや消化器外科などで使用する
- 主な管理機器
麻酔器:GE、ドレーゲル
TCIポンプ、シリンジポンプ:テルモ
手術台:竹内製作所、瑞穂株式会社 ほか
手術用顕微鏡:三鷹光器、カールツァイス
電気メス:COVIDIEN、ELBE ほか
内視鏡センター業務
・消化器内視鏡業務
・上部内視鏡検査・下部内視鏡検査
・健診上部内視鏡検査・健診下部内視鏡検査
・胃瘻造設・胃瘻交換
・ポリペクトミー・EMR(内視鏡的粘膜切除術)
・ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)
・EUS(超音波内視鏡検査)
・食道バルーン拡張術
・小腸・結腸狭窄部拡張術
・大腸拡張術
・十二指腸拡張術
・止血術
・EVL(内視鏡的静脈瘤結紮術)
・ERCP(内視鏡的膵胆管造影)
・EST(内視鏡的乳頭括約筋切開術)
・経乳頭的胆管結石除去術
・ENBD(内視鏡的経鼻的胆道ドレナージ)
・胆管拡張術
・内視鏡的経鼻的膵管ドレナージ
・イレウス管挿入
・十二指腸ステント留置
・大腸ステント留置
・食道ステント留置
・異物除去
内視鏡センターは医師・看護師・臨床工学技士・クラーク・看護補助者にて業務をおこなっております。臨床工学技士は内視鏡業務として通常2名で下記の業務をおこなっております。夜間・休日緊急の内視鏡実施の際は待機者が連絡を受け、24時間対応しています。
- 内視鏡検査室準備
内視鏡室の準備・内視鏡タワーの移動・使用するスコープのセッティング 使用機器類の準備等をおこなっております。
- 使用前点検
内視鏡使用前点検表を使用し内視鏡のスコープ・タワーの点検を実施しております。
- 使用材料準備
内視鏡検査実施中に使用する生検鉗子や止血鉗子等検査・処置に使用する物品を準備します。
- 医師介助
内視鏡検査中の生検や色素散布、ポリペクやESD、ERCP中の材料のセッティングやデバイスの介助をおこなっています。
- 洗浄消毒
使用後の内視鏡の予備洗浄や内視鏡洗浄器へのセッティング、内視鏡洗浄器のメンテナンス等もおこなっています。
- 材料発注・コスト表作成
検査・手術にて使用した材料は発注します。また必要に応じてメーカーへ連絡し材料の依頼をします。検査・手術終了後は患者様ごとにコスト表を作成します。
- 在庫管理
頻繁に使用する材料は機材庫へ保管しております。必要に応じて材料の数の変更や追加をおこなっています。
- 修理依頼・代替機の手配
故障した機器は臨床工学科にて修理依頼書を作成し修理依頼をしています。また検査に支障が出ないよう代替機の手配もあわせておこなっています。
- 業務スケジュール
8:50~内視鏡センター検査準備開始
9:15~上部内視鏡検査・健診内視鏡検査実施
11:30~ESD・PEG造設・ERCP等内視鏡手術実施
13:30~下部内視鏡検査・ポリペクトミー・EMR等実施
16:30~片付け・使用物品発注・コスト表作成
- 主な機器一覧
オリンパス社製 内視鏡タワー 2台
内視鏡タワー
- 内視鏡スコープ
オリンパス社製
GIF-1200N 3本
GIF-XP290N 4本
GIF-H290 1本
GIF-H290Z 1本
CF-H290I 3本
CF-H260AZI 1本
PCF-260AI 1本
PCF-PQ260L 1本
GIF-XP260N 1本
GIF-Q260 2本
GIF-Q260J 1本
JF-260V 2本
GF-UE260-AL5 1本
GIF-2TQ260M 1本
BF-Q290(気管支鏡)1本
内視鏡 保管庫
エルベ社製 VIO300S 1台
オリンパス社製 ESG-100 1台
高周波装置
- 洗浄消毒装置
J&J社製 エンドクレンズNeo1台
エンドクレンズNeo D 1台
エンドクレンズD 1台
富士フィルム社製 ESR-110 1台
洗浄消毒装置
血管造影室業務
各種検査・治療時の清潔野業務、IVUS/OCT操作・解析、各種デバルキング装置操作、外回り業務、材料管理、伝票整理や緊急時のIABP ・ECMO等の補助循環操作・管理、オートインジェクターの操作・管理を行っております。
また、不整脈領域では各種検査・治療時の清潔野業務、ポリグラフ・3Dマッピング装置操作等を行っております。3DマッピングシステムにJ&J CARTOを使用し、同時にCARTO UNIVIEWも導入しております。ESUS(塞栓源不明脳梗塞症)や失神発作等に対して、植え込み型心電計の留置とデータ管理も行っております。
脳神経外科領域では造影検査(AVM,各種動脈瘤評価等)、緊急血栓回収術(アテローム血栓性脳梗塞症例等)、頸動脈ステント留置術(CAS)、塞栓術等の症例に入り、準備、材料管理、伝票処理等を行っています。これら業務に関する材料管理も当科で行っております。
血管造影室 1
血管造影室 2
循環器内科関連業務
冠動脈造影検査 |
経皮的冠動脈形成術 |
末梢血管治療 |
右心カテーテル |
体外式ペースメーカー留置 |
左室造影検査 |
冠動脈予備能比測定 |
アセチルコリン負荷試験 |
植え込み型心電計留置 |
下大静脈フィルター留置 等 |
高周波カテーテルアブレーション |
※経皮的冠動脈形成術におけるデバルキングデバイスとしてはRotablator(高速回転アテレクトミーデバイス)やOAS(ダイアモンドバックシステム)、DCA(方向性冠動脈粥種切除)などを用いて治療にあたっています。イメージングモダリティではIVUSやOFDIを用いております。FFR/iFR測定に加え、INOCA(虚血性非閉塞性冠疾患)が疑われる症例についてはCMD(冠微小循環障害)を評価して治療方針を決定しています。
オートインジェクター ACCIST
オートインジェクター AVANTA
Rotablator/OASコンソール
脳血管造影検査 |
脳血管内塞栓術 |
脳動脈瘤や脳腫瘍に対するバルーン閉塞試験(BOT) |
ステントレトリーバータイプ
血栓吸引装置
IVR-CT室業務
放射線科による各臓器(頭頸部・膀胱等)動注化学療法や定期・緊急での塞栓術、肝動脈化学塞栓術(TACE)、各種造影検査、ドレナージ術や消化器内科によりCV Port造設、PICC等において清潔野業務、外回り業務、材料管理・伝票処理業務等を行っています。
人工心肺業務
心臓血管外科では冠動脈疾患、弁疾患、大血管疾患等に対する手術や房中隔欠損や心室中隔欠損、卵円孔開存には閉鎖術等を行っております。その際に心臓と肺を代行する人工心肺装置を操作・管理し、術中の全身循環管理を行っています。また心臓の拍動を停止させ心筋保護液を注入する心筋保護液供給装置、術野から出血した血液を洗浄・濃縮する自己血回収装置等を操作・保守管理しています。この他にも患者の体温を管理する冷温水槽装置、心拍出量や各種血行動態パラメータを持続的に監視する血行動態モニタ、体外式ペースメーカー、脳内の酸素飽和度を測定する局所酸素飽和度モニターやバイパスグラフト評価にグラフトフローメーター、MICS時に使用する内視鏡カメラシステム等の操作・保守管理も行っております。その他関連材料の管理も併せて行っております。
最近では、MICS(低侵襲心臓手術)にも積極的に取り組んでおり、冠動脈疾患・弁疾患・Wolf –Ootsuka法による外科的アブレーションも完全内視鏡下心房細動手術にて行っております。
LivaNova 人工心肺装置 S5
心筋保護供給装置 クエスト MPS
自己血回収装置 LivaNova XTRA
補助循環業務
IABP(大動脈内バルーンパンピング)、ECMO(経皮心肺補助装置)等の操作・管理・保守等を行っております。これら業務を24時間/365日体制で対応しております。
経皮的心肺補助装置 TERUMO SP-200
大動脈内バルーンパンピング GETINGE Cardio Save
人工透析業務
脳神経外科・循環器内科・心臓血管外科・消化器内科・消化器外科等における人工透析、持続緩徐式血液透析濾過やアフェレーシス療法等の対応を行っています。
持続緩徐式血液透析濾過装置 Baxter Prismaflex/川澄化学 KM-9000
個人用透析装置 日機装DBG-03/個人用水処理装置 フレゼニウス Aqua UNO
腹水濾過濃縮装置 e-CART カネカ
ハイパーサーミア業務
当院では、がんの集学的治療の一環として2021年11月に山本ビニター製 「サーモトロンRF8 GR edition」 を導入し、ハイパーサーミア治療が始まりました。 現在、臨床工学技士2名が装置の保守管理、医師の指示のもとでの治療位置や電極サイズの決定、治療中の出力調整、シミュレーターを用いた加温評価を行っています。 治療中は患者さんとコミュニケーションをとりながら苦痛のない治療を行えるよう心掛けています。 ハイパーサーミア治療の詳細については、当院ホームページ内のがんの治療についてをご覧ください。
高気圧酸素治療業務(HBO)
当院では、高気圧酸素治療装置「SECHRIST 3300HJ」を2台所有しております。医師の指示の下、この装置を操作して高気圧酸素治療を行います。
当院の高気圧酸素療法は、100%酸素を使用して治療環境内を2絶対気圧(2ATA)まで加圧します。この環境内に居ていただくことで起きる身体的反応を利用して治療を行います。適応疾患は幅広く御座いますが、当院では脳梗塞患者様の早期回復に向けた治療適応が多いです。また、癌患者様に対する化学療法や放射線療法、温熱療法と組み合わせることにより、治療効果を上昇させる目的でも使用されております。
学会認定等
学会認定などによる資格取得にも取り組んでいます。
- 体外循環技術認定士(※1):1名
- 心血管インターベンション技師(※2):2名
- 3学会合同呼吸療法認定士(※3):1名
- 消化器内視鏡技師(※4):1名
- 透析技術認定士(※5):1名
- 高気圧酸素治療専門技師(※6):2名
- 医療機器情報コミュニケータ(※7):1名
- 医療情報技師(※8):1名
※1 日本人工臓器学会・日本胸部外科学会・日本心臓血管外科学会・日本体外循環技術医学会の4学会が認定する資格
※2 日本心血管インターベンション治療学会が認定する資格
※3 日本胸部外科学会・日本呼吸器学会・日本麻酔学会の3学会が認定する資格
※4 日本消化器内視鏡学会が認定する資格
※5 透析療法合同専門委員会=日本腎臓学会・日本泌尿器学会・日本人工臓器学会・日本移植学会・日本透析医学会=が認定する資格
※6 日本高気圧潜水医学会が認定する資格
※7 MDIC。日本医療機器学会が認定する資格
※8 日本医療情報学会が認定する資格
主な所属学会
- 日本臨床工学技士会
- 北海道臨床工学技士会
- 日本体外循環技術医学会
- 日本人工臓器学会
- 日本心筋保護研究会
- 日本心血管インターベンション治療学会
- 日本消化器内視鏡技師会
- 北海道消化器内視鏡技師会
- 日本医療機器学会
- 日本高気圧潜水医学会
- 日本高気圧潜水医学会 北海道地方会
- 日本ハイパーサーミア学会