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診療科のご案内

脳神経外科

外来診療のご案内  ドクターのご紹介


脳神経外科では主に急な症状を起こすことの多い脳卒中(脳出血、くも膜下出血や脳梗塞など)を中心に、脳腫瘍や三叉神経痛や顔面けいれん、脊髄脊椎の病気など外科手術が必要となる疾患を対象に診療を行っております。
急な激しい頭痛はもちろん、言葉のもつれ、半身の脱力・麻痺、しびれ、めまい、ふらつき、顔面麻痺、構音障害や顔面麻痺、半身麻痺などに加え、時には意識障害をきたすのが、脳卒中の症状です。
脳卒中を疑う際、気にすべきことは「FAST」です。F(face)顔面A(arm)上肢S(speech)言語の症状ですが、T(time) 時間が重要です。軽い症状のうちに早く診断を受け早く治療を受けることが重要という意味です。
当院の脳神経外科は365日24時間専門医が常駐しており、緊急手術が必要な場合は1時間以内に開始できる体制がしかれております。脳卒中かと思われた場合、救急車を呼ぶか直接病院へ連絡してください。
*手や腕、下肢の持続的なしびれや痛みは脊髄脊椎の病気や末梢神経の問題が考えられますが、脊髄脊椎専門の脳神経外科医がおり、整形外科やペインクリニックと協力して診療に当たっています。
*タバコをたくさん吸う方や、くも膜下出血を患ったことのある親族をお持ちの方は脳の動脈に瘤ができている可能性があるため、定期的な脳ドックの受診、早期発見をお勧めします。

対象疾患と治療法

くも膜下出血

くも膜下出血は重篤な状態を引き起こす病気です。発症するとおよそ3分の1の方が死亡し、3分の1の方が障がいを残し、社会復帰できる方は残り3分の1程度しかいません。
くも膜下出血は中年以上では脳動脈瘤、若い方では生まれつきの病気である脳動静脈奇形が破裂して起きます。
これまでに感じたことのないような頭痛で発症することが多いので、激しい頭痛を感じた場合は救急車で脳神経外科を受診する必要があります。大量のくも膜下出血では突然、意識を失ってしまうこともあるため緊急搬送が必要です。
【治療法】
発症した場合、動脈瘤が再度破裂しないようにクリッピング、コイリングなどの緊急手術が必要です。クリッピング術は全身麻酔下で頭蓋骨を外して手術用顕微鏡を用い、破裂した動脈瘤を金属製のクリップで挟んで、動脈瘤の内部に血液が入らないようにします。コイリングは太ももの付け根の動脈からカテーテルという細い管を入れ、動脈瘤の内部まで挿入します。そして、コイルという細い金属製の針金を動脈瘤の中に詰めて、動脈瘤の中に血液が入らないようにする治療です。
くも膜下出血の治療は再破裂防止が大前提ですが、発症後1週間程から起こる「血管攣縮」の問題や脳内の髄液が貯留する部屋(脳室)が拡大する「水頭症」の治療も必要となります。くも膜下を走る動脈が出血の影響で縮小するのが「血管攣縮」で脳梗塞を起こすことがありますし、くも膜下の髄液の流れが出血によって悪くなって起こるのが「水頭症」ですので、いかにくも膜下に残る血塊を取り除けるかが鍵になります。十分に除外するための技術が必要ですので術者の経験が重要で、ベテランの脳外科医の存在が不可欠です。
当院では優秀な脳外科医が手術を担当していることもあり、最近ではほとんど血管攣縮による問題は起こしておりません。

未破裂脳動脈瘤

くも膜下出血の原因で最も多いのが未破裂脳動脈瘤です。脳動脈瘤が破れるとくも膜下出血になりますが、ほとんどの未破裂動脈瘤は無症状です。動脈瘤の大きさや場所によっては、動眼神経麻痺といって、片側のまぶたが開かなくなり、両方の目で物を見ると二重に見えることがあります。また、動脈瘤により視神経が圧迫されると、視力が落ちたり視野が欠けたりします。
【治療法】
症状がなくても、直接血の繋がった親族にくも膜下出血がいる方や、タバコをたくさん吸う方は、未破裂脳動脈瘤が存在する可能性が高いので、脳ドック受診をお勧めします。
未破裂脳動脈瘤は自然に小さくなったり、消えたりすることはほとんどありませんし、残念ながら現時点では薬物療法で小さくなったり、破裂率が下がったりすることは証明されていません。
そのため、未破裂脳動脈瘤が見つかると、できた場所や瘤の大きさ形状から経過観察をするケースもありますが、外科手術を検討します。脳動脈瘤が破れる確率を下げるか、なくすためには外科的な治療が必要となります。現在、大きく分けて「脳動脈瘤クリッピング術」と「脳動脈瘤コイル塞栓術」の2種類の治療を行っています。

脳梗塞

動脈硬化などで血管の内側が塞がり、その先の脳細胞に十分な血液が送れなくなると、脳細胞が十分な栄養を得られなくなり、脳虚血となります。この状態がしばらく続くと、脳細胞が死んで脳梗塞となります。
不整脈がある方は心臓の中で血液がよどみやすくなり血塊ができて、それが心臓から脳の血管に流れて詰まることでも起きます(脳塞栓)。脳塞栓は太い動脈を閉塞させることも多く、不整脈がある場合、その程度によって、これを防ぐための抗凝固剤を飲む必要があります。
高齢者の方は十分に水分を摂っていないと体が脱水状態になり、その結果、血液が固まりやすくなり、脳の血管が詰まって脳梗塞となることが多いです。
症状としては、顔面の麻痺や口角からの飲水のもれ、ろれつが回らない、飲水時のむせ、半身の麻痺・しびれ、ふらつきが多いです。
【治療法】
脳梗塞の多くは点滴(血栓を融解させるもの、虚血で起こる酸化を押さえるもの、血流を流れやすくするもの、2次的な脳の腫れを押さえるものなど)による内科的な治療を行います。血栓融解は発症後6~8時間以内が原則となりますので、発症後速やかな受診が必要です。脳梗塞の種類、発症時間によっては、詰まってしまった血管を開頭やカテーテルによって直接再開通させる方法があり、外科的な治療によって、症状の劇的な改善が期待できることもあります。時間との勝負で治療結果が決まこともありますので、上記の症状があれば、すぐに救急車で脳神経外科を受診してください。
ほとんど急性期の治療終了後になりますが、慢性的な虚血が残る場合、不足する血流を補うために脳外の血管を脳内の血管につなぐバイパス手術を行うこともあります。頸部の動脈が狭くなって脳への血流が低下している場合、血管内から拡げてステント(金属のチューブ)を入れたり、直接血管を開いて狭くしている病変を取り去る手術を行います。

脳出血

脳出血は一般的に高血圧が原因で、脳血管に動脈硬化が起こり血管壁がもろくなって出血する場合がほとんどですので、動脈硬化が生じ始めてくる50歳代以降から増加してきます。若い方では生まれつきの病気である脳動静脈奇形や、成人ではもやもや病や血管壁の特殊な変性(アミロイド変性)が原因で起きることもあります。
血液透析を行っている方、血液をサラサラにする薬を飲んでいる方、お酒を大量に飲む方も脳出血を起こしやすいとされております。
出血箇所は大脳が90%(被殻60% 皮質下20% 視床10%)とほとんどですが、小脳(約8%)、脳幹等(2%)も起こります。
出血量が少ない場合は軽い頭痛やふらつき、めまい、手足のしびれ感のみの症状ですが、好発部位の関係で多くは運動に関係する経路がダメージを受ける場合が多く、半身の麻痺やしびれ、言葉が出ない、ろれつが回らない、平衡感覚がなくなり歩けないなどの症状が見られます。脳幹出血では急に意識消失して四肢麻痺になったり亡くなったりすることもまれにあります。
【治療法】
入院して血圧を下げることから始まりますが、出血量が多いと緊急手術を行う場合もあります。手術は全身麻酔下で、頭蓋骨を外して血腫除去をしますが、脳出血によって髄液の流れがせき止められて脳室が拡張する急性水頭症の場合には、頭蓋骨に小さな穴を開けて、髄液を頭の外に出す手術(ドレナージ術)を行うこともあります。

脳腫瘍

脳腫瘍は頭の中にできる腫瘍です。脳腫瘍の大きさや部位によって起こる症状はさまざま多岐にわたります。頭痛やめまい、ふらつき、半身麻痺、言葉の出にくさ、話せない、言葉の理解ができない、認知症、物が二重に見える、耳が聞こえない、顔の表情が左右で違う、けいれんなどです。急激に症状が悪化する場合もありますが、ほとんどは徐々に症状が悪化していきます。
早期発見が重要ですので、上記の軽い症状でも脳の精密検査を受けることをお勧めします。
【治療法】
治療をせずに経過観察で良いケースから、手術で根こそぎ取り除かなければいけないケースまであります。ほとんどの場合、良性、悪性で治療法が異なり、良性の場合は完全摘出を考えますし、悪性の多くでは、手術後に放射線治療や化学療法を追加しなければなりません。中には、薬物のみで治療する腫瘍もあります。
手術の際は、脳そのものから発生した腫瘍では病巣と正常組織を見分けるための工夫がなされます(モニター、ナビゲーション、標識薬物の投与など)し、脳外から発生し脳を圧迫しているような場合は脳を傷つけないようさまざまなテクニックを駆使して行われます。

三叉神経痛・顔面けいれん

三叉神経痛は風が顔に当たったり、布が顔に触れたり、口に水を含んだだけででも激しい痛みが顔に生じる病気です。歯磨きのときに虫歯がないにもかかわらず、歯が痛む場合や男性では髭剃りをした際、顔面にビリっとした痛みが起きる場合もあります。
原因は脳の血管や脳腫瘍が三叉神経を圧迫したり、感染症、多発性硬化症という内科の病気だったりなど多岐にわたります。
顔面けいれんは目の下や頬、口のまわりの筋肉が勝手にピクピクと動いてしまう病気です。最初は片側だけですが、ごくまれに両側に広がることもあります。緊張やストレス、強く目を閉じようとすると誘発されやすく、人前に出るのが嫌になってしまう方もいますが、長期になると最善の治療でも完全に治らないこともありますので、早めの相談が望まれます。
【治療法】
三叉神経痛は時間が経ってしまうと、治療を行っても治らない可能性が高くなるので強い顔面の痛みの際は早期受診をお勧めします。腫瘍以外はペインクリニックでブロック、薬物注入で治療する方法がありますが再発の確率が高く、脳の血管や腫瘍が明らかな原因の場合は脳神経外科の治療で回復が期待できます。原因が脳腫瘍の場合はさまざまな精密検査を行った上で腫瘍を切除します。血管の圧迫の場合は、まずは内服薬で治療を始め、効果がない場合は開頭して三叉神経を圧迫している血管を移動させて固定します。
顔面けいれんは血管が顔面神経の根元を圧迫している場合、ほとんど手術で治ります。三叉神経痛と同じく、症状が起きてから時間が経ってしまうと治りにくくなるため、軽いうちに受診してください。ペインクリニック、脳外科などでピクツク筋肉にボトックスという薬物を注入して一定期間止める方法もありますが、約3か月ずつ注射を繰り返さなければなりません。手術は三叉神経痛同様、原因血管を移動固定し圧迫を取り除きます。

急性硬膜上血腫・硬膜下血腫、慢性硬膜下血腫

頭部外傷の程度によって、脳の外側にある膜(硬膜)の内外に血がたまったり、血塊や脳のダメージによる腫れによって健常な脳が圧迫され、放置すると間接的に生命中枢へ影響が出て命を落とすことがあります。急速に症状が悪化することも多いので、頭をかなりぶつけた場合はけがの直後に検査を受け、その後1、2日は十分な経過観察が必要です。乳幼児は脳の表面に隙間があるため、軽いけがでも脳表の静脈が切れて急に重篤化しますので特に注意が必要です。
高齢者に多いのですが、少量の硬膜下の出血が徐々に拡大し、2、3か月後に頭重感、認知機能低下、ふらつき、歩行障害などを引き起こす慢性硬膜下血腫がみられることもあります。
【治療法】
急性硬膜上・硬膜下血腫はその程度をみて、少量なら止血剤投与で出血を止めて経過をみますが、大量の場合は頭蓋骨を外して血腫除去を行います。脳のダメージが大きく脳の腫れ方がひどければ挫滅部分を取り除きますが、一定期間腫れの影響が外側に向かうよう頭蓋骨を外しておく方法(外減圧)をとることもあります。
脳の挫滅があった場合はけいれんを起こすことがあるので、一定期間抗けいれん剤の服用が必要となる場合もあります。
慢性硬膜下血腫は少量なら薬物で自然治癒を目指しますが、大量なら手術を行います。血腫が液状となっていることがほとんどなので小孔から洗浄排出させ、1、2日チューブを入れておいて残りを抜き取る方法をとります。

水頭症

脳から腰までの脊髄腔には脳や神経を保護する約150mlの液体(髄液)が流れています。毛細血管を介した産生吸収が行われており、毎日400-500ml産生され3、4回交換しているといわれています。急な出血で流れがせき止められると急性の水頭症(髄液がたまっている部屋―脳室が拡大)もありますが、多くはくも膜下出血や髄膜炎などによる吸収障害、さまざまな理由による通路障害、腫瘍による産生過剰によって徐々に脳室が拡張し周囲の正常脳を圧迫して、認知機能低下、ふらつくなどの歩行障害、尿失禁などの排尿障害がおきます。
【治療法】
脳室から心臓か腹腔に、または腰部の髄液貯留部である脊髄腔から腹腔へ皮下を通した細いチューブを入れて新しい通路を確保します。

神経内科

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神経内科(脳神経内科)とは意識障害や頭痛、物忘れ、言葉・感覚・運動・歩行障害などが脳や神経のどこに問題があって生じているのか診断する部門です。検査では眼球や四肢の動き、反射、知覚障害や不随意運動の有無などを調べ、どの神経系に障害があるのかを判断します。その後、MRIやSPECTなどの画像検査のほか、血液検査、脳波や神経伝達速度といった生理学的検査など行って原因をつきとめます。
神経内科で診る病気の多くは治療方法が確立されていない難病です。一方、医療は加速度的に進歩しており、専門医が診療だけでなく、原因究明のためにも協力し合っています。当院は特に、「パーキンソン病」「不随意運動(チック症、ふるえなど)」「身体表現性障害」に力を入れています。患者さまに納得していただくことが何より重要と考え、脳や神経のメカニズム、薬や外科治療がなぜ症状を改善させるのかをわかりやすく説明し、必要に応じて精神神経科医と連携して診療を行っています。

対象となる主な症状、疾患

物忘れ(認知症)

アルツハイマー病、びまん性レビー小体病、前頭側頭型認知症、大脳皮質基底核変性症

前兆のない頭痛、前兆のある頭痛

肩こりによる緊張性頭痛、片頭痛

急に生じる顔、手足のしびれや痛み、麻痺

ギラン・バレー症候群、多発性硬化症

程度が時間や日によって変動する眼や四肢の麻痺

重症筋無力症

ゆっくり進行する手足の麻痺や歩行障害

パーキンソン病、進行性核上性マヒ、大脳皮質基底核変性症

難治性のしびれや痛み

帯状疱疹、手術後のしびれ、手根管症候群などの診断

急に生じる「ふるえ」と意識障害(失神)

首、顔、手足が勝手に動く(不随意運動)

本態性振戦、チック症、舞踏運動、アテートシス、ジストニア

睡眠障害

睡眠時無呼吸症候群、レム睡眠行動異常症、下肢静止不能症候群(レストレスレッグス症候群、むずむず脚症候群)

“心の辛さ”が原因のしびれや痛み、麻痺

心から生じる神経症状、身体表現性障害(身体症状関連障害)

消化器内科

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消化器内科を受診していただく際の症状として、腹痛、吐き気・嘔吐、胸やけ、便秘や軟便、下痢、お腹のゴロゴロ感、そして、食欲不振、。体重減少が挙げられます。胃の病気で胸部痛や背部痛が起こることもありますので、そのような症状のご相談にものっています。
ちなみに、消化器は食物を消化していろいろな栄養素の吸収、便としての排出に関わっており、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、胆管、すい臓からなっています。消化器内科はこれらの臓器の病気を広範にみる診療科となります。
消化器の病気において、近年増えているのはがんです。年間ほぼ100万人のがん患者のうち、第1位大腸、第2位胃で消化器がんが全体の約4割を占めていますので、見逃さないよう注意を払って診療をしています。無症状でも胃や大腸カメラ、血液での腫瘍マーカーのチェックなどによるがん検診も重要となります。

消化器内科が扱う代表的な疾患と、その一般的な治療法についてご説明いたします。


逆流性食道炎

逆流性食道炎は胃と食道の間にある「下部食道括約筋」という筋肉が緩むなどの原因により、胃酸が食道へ逆流しやすくなることで、胸焼け、呑酸(喉や口に酸っぱいものが込み上げる)、頻回のげっぷ、咳や胃の痛みや違和感などの症状が現れる病気です。胸が詰まるような痛みが持続するケースもあります。
【治療法】
薬物療法として、胃酸の過剰な分泌を抑えるお薬を用いて症状を改善させていきます。
加えて、脂っこい食事や食後にすぐ横になるなどの習慣が原因で症状が現れている場合には薬物療法と合わせて生活習慣を改善していく必要があります。肥満やタバコ、飲酒、腹部の締め付け、前かがみの姿勢、便秘による腹圧上昇なども要因となりますので注意が必要です。

慢性胃炎(萎縮性胃炎)、胃潰瘍

主にピロリ菌感染で慢性的な炎症が長期間続いている状態で、進行すると胃粘膜が徐々に萎縮します。
胃潰瘍はピロリ菌感染や解熱鎮痛薬の服用に加え、ストレスなどが原因で、弱くなった胃粘膜を強い酸の胃液が傷付けて潰瘍ができます。空腹時または食後の胃部痛がみられます。病変が進行して出血を起すと、黒っぽい血を吐血したり、血の混ざった黒い便(タール便)が出たりといった症状が現れます。
ピロリ菌感染は胃がんへ移行することもありますので、軽い症状でも感染の有無をぜひ調べていただきたい検査です。血液、尿の抗体や胃カメラの際の粘膜の採取で調べられます。
【治療法】
胃に出血が見られない場合は薬による治療を行います。第一選択は胃酸の分泌を抑える薬です。胃酸を中和する薬剤、粘膜を保護する薬を併用することもあります。胃からの出血があるときは内視鏡を用いて止血剤を出血箇所に注射するほか、患部に小型のクリップをかけるなどの、止血の処置を行います。しっかりと止血することで再出血のリスクが減ります。

ピロリ菌感染症

ピロリ菌に感染すると、ほとんどの場合はピロリ菌感染胃炎(萎縮性胃炎)を発症します。ただしこの段階で症状を起こすことはありません。慢性胃炎の悪化、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃過形成性ポリープ、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病の発症などによって症状を自覚します。胃がんが発見された人の99%はピロリ菌に感染しているという調査結果もあり、ピロリ菌感染者の約5~6%に胃がんが発生すると指摘されています。
【治療法】
ピロリ菌を除菌することで炎症や潰瘍の再発を防止できるため、日本では2000年に胃・十二指腸潰瘍、2013年には慢性胃炎に対して除菌治療が保険適用となりました。
ピロリ菌の除菌治療は、抗生剤2種類とその効果を高める胃酸分泌抑制剤1種類、計3剤を1週間飲むだけです。除菌治療は失敗することもありましたが、2015年にカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(一般名「ボノプラザン」)という薬が登場して、除菌治療の成功率が90%以上に向上しています。最初の除菌治療に失敗した場合、抗生剤を変更して2回目の除菌治療も保険適用で行うことができ、1回目と2回目を合わせた成功率は97~99%です。

肝炎

肝臓に炎症が起こり発熱や黄疸、全身の倦怠感といった症状をきたす病気です。日本では約8割の肝炎がウイルス性と言われています。感染経路は経口感染、血液感染、性行為感染などさまざまで、ウイルスの型(A型、B型、C型、E型)によって感染ルートに違いがあります。重症化すると肝硬変や肝臓がんといった深刻な症状になる場合があります。肝臓は沈黙の臓器と言われていますので、早期に発見するためにも定期的な検診を心掛けましょう。疾患が見つかっても、初期であれば、外来での対応で重篤化を防ぐことが可能です。
【治療法】
肝炎の治療法は原因によって異なりますので、精査の上、それぞれに応じた治療を行っています。

胆石、胆管結石

胆石は胆のうや胆管内にできた結晶で、胆のうにあるときは胆のう結石症(胆石症)、胆管にあるときは総胆管結石症、肝臓内の胆管にあるときは肝内結石症といいます。ほとんどの胆石は胆のうにでき、その一部が、胆管に流れ出すことがあります。この胆石により胆管が塞がれてしまうと、胆管に細菌感染を起こしたり、膵炎、黄疸(おうだん)の危険性が出てきます。胆のう結石60%はコレステロール胆石(コレステロールを70%以上含有)ともいわれています。胆管結石ではカルシウム・ビリルビン結石(カルシウムとビリルビンの結晶)が主体です。
胆汁中に溶けているコレステロール、ビリルビンなどの物質が胆汁中に過剰に排泄、胆道感染などさまざまな原因により胆汁中に溶けきれなくなり、結晶になります。
胆石が胆のうの中にあるときは何の症状もでません。胆管に移動し、小さいまま残っているか、無事小腸に流れ出たときも無症状です。しかし、胆石が胆管を塞ぐと疝痛(せんつう=引いては繰り返す痛み=)が出て、食後30分から2時間に右上腹部の痛み、吐き気、嘔吐が起こります。胆石特有なものは、右上腹部を圧迫したときの痛みです。胆管がふさがり感染がおこると発熱や悪寒、黄疸が出ます。
【治療法】
痛みの発作が繰り返しおこる胆のう胆石症には、石を溶かす薬や胆のう摘出手術を検討します。胆のう摘出は約90%が腹腔鏡下で行われるようになり、身体の負担も少なくなりました。
胆管結石症では内視鏡治療が、主流になってきています。

膵炎

急性膵炎と慢性膵炎に分けられます。
急性膵炎は膵臓の急性炎症で、他の臓器にまで影響を及ぼすことがあります。2大原因はアルコールと胆石です。最も多い症状は上腹部痛ですが、背部まで痛みが広がることもあります。このほか、嘔吐や発熱、状態が悪化すると意識障害やショック状態など重症化することもあります。
一方、慢性膵炎は、膵臓の正常な細胞が壊れ、膵臓が線維に置き換わる病気です。原因は男性では飲酒が最も多く、女性では原因不明の特発性が多くみられます。膵液の通り道である膵管が細くなったり、膵管の中に膵石ができたりして、膵液の流れが悪くなり、痛みが生じると考えられています。初期段階では膵臓の機能は保たれており(代償期)、腹痛が主な症状です。進行すると次第に膵臓の機能が低下し(移行期)、さらに進行すると、膵臓の機能は著しく低下し(非代償期)、消化不良をともなう下痢や体重減少、糖尿病の発症や悪化が生じます。
【治療法】
急性膵炎は血液データと造影CTによる診断、重症度判定が行われます。治療は絶食による膵臓の安静と十分な量の輸液投与を行います。腹痛に関しては鎮痛剤を適宜使用し、膵酵素の活性を抑える薬も使用します。重症例は集中治療が必要で、輸液管理に加え、臓器不全対策、感染予防、栄養管理などが行われます。
慢性膵炎の治療は禁酒、禁煙を行い、腹痛に対しては鎮痛剤や蛋白分解酵素阻害薬を使用します。膵管が細くなっている場合は内視鏡を用いて広げたり、膵石がある場合は、内視鏡による除去や体外衝撃波結石破砕術を併用することもあります。

潰瘍性大腸炎

大腸の粘膜にびらん(ただれ)や潰瘍ができて、下痢や血便、腹痛といった症状が慢性的に生じる病気です。患者数は毎年約1万人増加しており、炎症性腸疾患のひとつで治療が難しいこともあって厚生労働省による難病指定を受けています。
【治療法】
症状が強く出る時期(活動期)と落ち着く時期(寛解期)があります。症状の程度と患者さんの生活状況から、ステロイドや免疫調整薬が使われています。薬物療法をきちんと続けることで、症状が落ち着いている状態を長く維持することが可能な病気でもあります。

便秘

便通は本来、毎日あるのが健康な状態です。3日以上なかったり、便が硬くて量が少なく残便感があったりする状態を便秘と呼びます。女性に多く、排便が困難になるほか、腹痛、腹部膨満感、食欲不振などの症状もあらわれます。肌荒れや肩こりなど、全身に影響が出ることもあります。
【治療法】
便秘の治療法は、生活指導・食事指導・薬物治療―3つが柱になります。
薬物治療には、便を柔らかくすることで排便を促す「非刺激性下剤」と、腸のぜん動を強めて排便を促す「刺激性下剤があります。また、両方の働きをもっているエロビキシバット水和物という薬もあります。
便秘症の治療の基本は、非刺激性下剤を毎日飲んでいただき、1~2日に1回もしくは、1日2回程度までの普通便がでるように調整することですが、同時に生活習慣・食事内容の見直しをお願いしています。非刺激性下剤で排便コントロールがつくまで、もしくは非刺激性下剤だけでは排便コントロールがつかないときに頓用で刺激性下剤を飲んでいただきます。


たくさんの疾患をご紹介しましたが、私たちが最も時間を割いて治療をしているのは、消化器にできるがんです。以前よりも治療成績は上がっていますが、満足できないような治療結果になってしまうこともあります。そこで、がんの予防の啓蒙活動にも力を入れており、日本対がん協会が発表しているがんを防ぐための新12か条を守ることを強く推奨いたします。

1.たばこは吸わない
2.他人のたばこの煙を避ける
3.お酒はほどほどに
4.バランスのとれた食生活を
5.塩辛い食品は控えめに
6.野菜や果物は不足にならないように
7.適度に運動
8.適切な体重維持
9.ウイルスや細菌の感染予防と治療
10.定期的ながん検診を
11.身体の異常に気がついたら、すぐに受診を
12.正しいがん情報でがんを知ることから

以上のことを守ることにより、がんになるリスクを減らし、早期発見もできるようになります。


消化器領域のがんの内視鏡治療や抗がん剤治療

https://www.teishinkai.jp/thp/endoscope_center/

https://www.teishinkai.jp/thp/cancer_treatment_center/

消化器外科

外来診療のご案内  ドクターのご紹介


消化器外科は消化器内科と連携し、主に食道、胃、十二指腸、肝臓、胆のう、膵臓、小腸、大腸、肛門および腹壁の各種疾患に対する外科治療を担当しています。
当科の手術は低侵襲(傷や身体への負担が小さい)治療による早期退院、社会復帰を目指して積極的に腹腔鏡手術を導入しています。

対象疾患

各種消化器がん(主に胃がん・大腸がん)、急性胆のう炎(胆のう結石症)、急性虫垂炎、そけいヘルニア、内・外痔核、腸閉塞症、その他内科での根治が困難な消化器炎症性疾患など。

低侵襲を目的とした腹腔鏡手術の一例

疾患の種類や部位、大きさなどにより傷の大きさは多少変わります。詳しくは外来にてご相談ください。


胃がんの場合

胃がんのイラスト画像

大腸がんの場合

大腸がんのイラスト画像



循環器内科

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症状

狭心症、心筋梗塞、心不全などの心臓病

「胸がもやもやする」「胸が締め付けられる」「動くと何となく苦しくなってくる」などの症状は、狭心症や急性心筋梗塞などの心臓血管病である可能性があります。これらの病気は突然重症化する危険性があり、できるだけ早く専門医の診察を受ける必要があります。「少し休めば楽になるから様子をみよう・・・」とか、「心臓発作?・・・なんて大げさ」などと楽観視していると、命に係わるようなトラブルを起こす可能性もあります。心臓発作の多くは冠状動脈という心臓を養っている細い血管の動脈硬化が原因で起こります。冠状動脈が狭窄したり閉塞することで血流障害が起きると、先ほど述べたような警告症状が出てきます。この警告症状に早く気付き適切な対応をすることが重要です。冠状動脈の検査は造影剤という薬を使用してCT検査や血管造影検査を行います。造影剤で映し出された血管の状態を評価し治療方針を決めていきます。多くの場合は局所麻酔でできるカテーテル治療の適応となり、バルーンや金属のステントを用いた血管内治療で対処可能です。しかし血管狭窄の場所や程度によっては外科手術の方が安全で効果的な場合もあります。どの治療が患者さんをより安全かつ効果的に治療できるかを、内科と外科合同でしっかり検討を行い最適な治療方針を患者さんにご提案させていただきます。治療の選択は医師の都合や興味によってではなく、あくまで患者さんご自身で決めていただくことが重要と考えております。心臓病を発症してしまってもできるだけいい状態まで回復し、安心してお仕事や日常生活に復帰できるようお手伝いさせていただきます。

高血圧、脂質異常症、糖尿病、メタボリックシンドローム、高尿酸血症などの生活習慣病

多くの方は「できるだけ元気で長生きする」のが理想的と考えているのではないでしょうか。それをかなえるためには心臓病や大動脈疾患、末梢血管疾患などの病気にならないように、普段の生活から気を付けていくことが大切です。高血圧、脂質異常症、糖尿病、メタボリックシンドローム、高尿酸血症などの生活習慣病は年々増加傾向にあり、ストレスの多い現代社会では、これらの病気を発症することは珍しくありません。適切な治療を受けず放置していると心臓病や血管病を発症する可能性が高くなります。しかし残念ながら多くの方は「治療を始めたら一生、薬を飲まされるのでは・・・」と不安になり、病院受診を先延ばしにしています。そういったお気持ちもよく分かりますが、放置したがために新たに心臓病、血管病を合併してしまっては、「できるだけ元気で長生きする」ことは難しくなります。できるだけ早期に生活習慣病のコントロールを始め、運動や食事などの生活習慣も改善していけば、少量の薬で治療することも可能となります。病気や治療に対する不安感を解決することは簡単ではありません。私たちは診療を通じて、患者さんご自身がご自分の健康状態に向き合い、「できるだけ元気で長生き」できるようにサポートしてまいります。

対象疾患

    ●狭心症、心筋梗塞、心不全、不整脈、弁膜症、心筋症などの心臓病

    ●大動脈疾患、末梢血管疾患などの血管病

    ●高血圧、脂質異常症、糖尿病、メタボリックシンドローム、高尿酸血症など生活習慣病

心臓血管外科

外来診療のご案内  ドクターのご紹介


心臓血管外科では心臓疾患(狭心症、心筋梗塞、心臓弁膜症など)、大動脈瘤(胸部、腹部)および末梢血管疾患(下肢動脈疾患、下肢静脈瘤)に対する外科治療を担当します。
手術器材の改良と手術手技の発達の恩恵で心臓血管手術は急速に低侵襲化してきています。当科では手術後早期の離床と社会復帰をめざして努力します。

対象疾患

虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)

心臓を栄養する冠状動脈の狭窄や閉塞で心臓の筋肉への血液の供給が減ることや途絶えることを虚血といいます。狭心症と心筋梗塞の2つをまとめて虚血性心疾患と呼びます。労作時などに胸痛が出現します。
血流を改善させるための治療はカテーテルによる経皮的冠動脈形成術と手術による冠動脈バイパス術があります。循環器内科と相談し病状にあわせて患者さんに最適な治療を選択します。冠動脈バイパス術では合併症を減らすために通常心臓手術に使用する人工心肺を用いずに冠動脈バイパス術(心拍動下冠動脈バイパス術:オフポンプCABG)を行います。

心臓弁膜症(大動脈弁、僧帽弁、三尖弁)

心臓は4つの部屋に分かれており4つの心臓弁があり効率よく血液を肺と全身に送っています。心臓の弁膜が開閉運動に支障をきたした状態で、血液の通過障害・逆流・送血効率の低下が起きる疾患です。重症化すると心不全を引き起こし、息切れ、呼吸苦などが出現します。
重症化した場合には外科治療が必要で人工弁による弁置換術が施行されます。症状が重度でも弁の変性が重症でなければ自分の弁を用いた弁形成術も施行されます。

大動脈疾患(胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤)

大動脈が動脈硬化により大動脈壁の強度が低下し拡張する大動脈瘤と、大動脈壁の内膜に生じた亀裂から血流が動脈壁に流入して2重構造になる急性大動脈解離があります。合併症として破裂によるショックと臓器障害があります。急性の場合は緊急手術が必要になります。治療法は開胸、開腹による人工血管置換術が施行されます。大動脈瘤の発生場所や大きさによっては血管内治療によるステントグラフト内挿術が施行されます。ステントグラフト内挿術は動脈瘤の形態が適してなければ施行できませんが、開胸開腹を必要とせず、術後の早期回復が期待できます。

末梢血管疾患(閉塞性動脈硬化症、下肢静脈瘤)

□閉塞性動脈硬化症
動脈硬化のために徐々に動脈が閉塞する閉塞性動脈硬化症が増えてきています。高齢、喫煙、高血圧、糖尿病、高脂血症などが危険因子です。初期には冷感、しびれ感などを自覚することもありますが、最も多い主訴は間歇性跛行(一定距離を歩くとふくらはぎや臀部が痛む)です。進行すると安静時痛や潰瘍、壊死に陥ります。治療については薬物治療、カテーテル治療、外科的バイパス治療などがあります。
下肢静脈瘤
下肢の静脈は足の血液を心臓にもどす役割を果たしていますが、逆流防止のために静脈弁が存在します。その静脈弁の機能不全による静脈血の逆流による血液の鬱滞が病気の正体です。夜間のこむら返り、下肢の浮腫や鈍重感、色素沈着や湿疹などの皮膚症状を伴う場合には積極的に治療を受けることをお勧めします。治療としては静脈瘤抜去切除(選択式内翻ストリッピング)や硬化療法(結紮術併用含む)、医療用圧迫ストッキングの着用などがあります。

頭頸科

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頭頸科では、脳と目を除く頭部・顔面領域から、主に鎖骨の上までの領域(ときに縦隔も含む)に発生した腫瘍を扱います。この領域に発生した腫瘍が頭頸部腫瘍であり、良性のものと悪性のものがあります。頭頸部は呼吸をする、話す、飲み込むなど、日常の生活を送る上で大事な機能を担う領域であるため、それらの機能を考えた治療が求められます。また、治療の対象となる領域が、顔や頸(くび)といった見える場所であるために整容的な配慮も必要とされます。すなわち、病気を克服するという根治性を維持しながら、機能と形態を考慮した治療を目指さなければなりません。頭頸部がんの治療には、手術療法、放射線療法、化学療法の3つの治療法があります。これらの治療法の中から、全身の状態や、病気の状態に適した治療の選択が求められますが、頭頸科では、頭頸科医、放射線科治療医、放射線診断医、歯科口腔外科医、病理医等の専門医と連携し、カンファレンスで個々の患者さんの診断や治療法について話し合った上で、診断および治療法の検討をしております。
手術療法に関しては、頭頸部腫瘍の治療経験の豊富な頭頸科スタッフが治療を担当いたします。頭頸部がんだけでも約20年の間に1,000例以上の症例を扱ってきた経験を生かしております。高度な技術を要するマイクロサージャリ−を用いた遊離組織による再建手術を行ない、可能な限り機能を温存する手術も積極的に行っております。我々は、遊離組織による再建手術は今までに500例以上行っており、喉頭がんや下咽頭がんに対しても声を失わないように喉頭を温存する手術も数多く手がけております。根治性を優先するため、すべての症例にということは不可能ですが、これらの技術を用いることにより、機能や整容面に最大限配慮した治療を行う努力をしております。

対象疾患

喉頭がん、 咽頭がん、 甲状腺がん、口腔がん、鼻・副鼻腔がん、唾液腺がん、その他、頭頸部領域の腫瘍

診療の流れ

 初診 ➡ 画像検査、病理組織検査(前医で行っている場合は当院病理医による病理診断) ➡
 検査結果の説明 ➡ カンファレンスで診断および治療法の検討 ➡ 治療方針の説明 ➡ 治療開始

はじめて受診された患者さんには、まず外来で病気を詳しく調べるために必要な検査をさせて頂きます。主に、血液検査、CT検査、MRI検査、細胞の検査(細胞診)、組織の検査(組織診)など、必要な患者さんにはこれらの検査を受けて頂きます。これらの結果をもとに、診断と治療に関して、各専門領域のスタッフ(頭頸科医、放射線科治療医、放射線診断医、歯科口腔外科医、病理医)による合同カンファレンスで、個々の患者さんに最も適した治療法について話し合います。その結果を踏まえて、患者さんには病気の説明と治療法の提案をさせていただいています。

喉頭がん

「喉頭」は咽頭と気管の間にあり、呼吸をするときに空気を気管へ出し入れする入り口にあたる器官です。いわゆる「のど仏」とは、「甲状軟骨」という喉頭のフレームの一部のことで、頸(くび)のほぼ中央に触れることができます。喉頭の働きは、ご飯を飲み込む(嚥下)ときに、間違って気管に入らないようにブロックする(誤嚥防止)ことや、声帯という喉頭の一部の器官を振るわせることによって声を出す(発声)といった日常生活を送る上で、欠かせない機能を担っています。「喉頭がん」とは、発声や嚥下に関わる部位にできるがんということができます。また、喉頭がんは、喫煙との関係が強く、患者さんの喫煙率は90%以上といわれています。
「喉頭」は「声門」といって、「声帯」がある部位を中心に、「声門上」「声門下」と3つの部位に分けられます。すなわち、「喉頭がん」には、声帯にできる「声門がん」、その上にできる「声門上がん」、声門の下にできる「声門下がん」の3つがあります。頻度としては「声門がん」が一番多く、その次が「声門上がん」です。「声門下がん」は発生頻度が非常に低いがんです。

●声門がん
「声帯」にできるがんであるため、症状としては、声嗄れ(嗄声;させい)が出現します。その声の質は、粗慥性(そぞうせい)といわれるガラガラした声です。病気が進むと痰に血が混ざったり、呼吸が苦しくなってきます。頸(くび)のリンパ節への転移は比較的少ないのが特徴です。
●声門上がん
はじめは、のどの違和感や、咳といった症状が多いです。病気が進行すると、のどの痛み(咽頭痛)、飲み込んだときの痛み(嚥下痛)が出現し、がんが声門へ広がってくると声嗄れ(嗄声)や息苦しさ(呼吸苦)が出てきます。比較的リンパ節へ転移し易いため、頸(くび)のリンパの腫れ(頸部リンパ節腫脹)で気づかれることもあります。
●声門下がん
声帯の下にできるがんですが、症状が出にくいため、病気が進行し、がんが声帯へ広がってくることによる声嗄れ(嗄声)や息苦しさ(呼吸苦)で気づかれることがあります。

咽頭がん

「咽頭」とは鼻の奥から食道に至るまでの食物や空気の通り道です。すなわち、食べ物や息をする際の空気の通り道にできるがんということになります。咽頭は、鼻の奥から食道に至るまでの縦に長い臓器で、その高さによって上・中・下の3つの部位に分けられ、それぞれ「上咽頭」「中咽頭」「下咽頭」と呼ばれています。いわゆる扁桃腺は、中咽頭に含まれ、ご自身でも鏡などで見ることはできますが、中咽頭の一部や、上咽頭、下咽頭はご自身では見ることはできません。そして、それらの部位にできるがんをそれぞれ「上咽頭がん」「中咽頭がん」「下咽頭がん」と呼び、咽頭がんを部位により3つに分けています。
「上咽頭がん」「中咽頭がん」「下咽頭がん」は、それぞれ発生部位が異なるため、症状もそれらの部位によって異なります。以下に、部位ごとの咽頭がんの症状について説明いたしますが、いずれもはじめのうちには、軽い痛みやのどの違和感程度の症状であまり気づかれないことも少なくないため、注意が必要です。

●上咽頭がん
「上咽頭」は、鼻の奥に位置するため、鼻の症状として、鼻づまり(鼻閉)、鼻血(鼻出血)、耳が詰まった感じ(耳閉感:「耳管」という上咽頭と耳をつなぐ管が閉塞するためにおこる症状)、難聴、耳の痛み(耳痛)を自覚するといった特徴があります。進行すると、顔のシビレや物がだぶって見える(複視)など眼の症状がでることもあります。また、頸(くび)のリンパ(リンパ節)の腫れで気づかれることも少なくありません。
●中咽頭がん
はじめは、のどの違和感程度の症状を自覚されることが多いのですが、病気が進行すると、のどの痛み(咽頭痛)、出血、発音の悪化(構音障害)、腫瘍の影響でのどが狭くなることによるいびき、放散痛による耳の痛みなどがでることがあります。「中咽頭がん」の中でも頻度が多い扁桃にできるタイプのがんの場合には、鏡を見て腫れに気づかれることもあります。風邪でのどが痛いものと思っていても、なかなか良くならない場合には注意が必要です。さらに、がんがのどの奥深くに広がると、口が開きづらくなる症状(開口障害)がでることがあります。頸(くび)のリンパ節が腫れることも多いため、頸部のしこりで気づかれることもあります。
●下咽頭がん
はじめは、「のどがイガイガする」「のどに何かが引っかかった感じがする」などのどの違和感(咽喉頭異常感)が出現することが多いです。進行するとのどの痛み(咽頭痛)、飲み込んだときの痛み(嚥下痛)、ときに耳へ広がる痛み(耳放散痛)などが出現することがあります。さらに病気の広がりが進むと、飲み込みづらさ(嚥下障害)、むせ(誤嚥)、出血などが出現してきます。下咽頭は、喉頭との距離が近いため、「下咽頭がん」が喉頭へ進展すると声嗄れ(嗄声)や息苦しさが出現してきます。

甲状腺がん

「甲状腺」は、のど仏より下にあり、蝶が羽を広げたような形をした臓器です。その主な働きは、「甲状腺ホルモン」という物質を分泌することです。このホルモンには、新陳代謝の調節をする働きがあります。甲状腺にできるがんは、細胞の種類によって複数に分けられています。発生頻度では、以下の6つのがんで甲状腺がん全体のほとんどを占めます。
①乳頭がん、②濾胞がん、③髄様がん、④低分化がん、⑤未分化がん、⑥悪性リンパ腫。
これらの中でも、「乳頭がん」が最も発生頻度が高く、甲状腺がん全体の9割近くがこのタイプのがんです。再発を繰り返し、生命を脅かすタイプの乳頭がんがごく一部ありますが、通常は再発なく経過することがほとんどです。反対に、頻度は非常に少ないのですが、「未分化がん」は進行が非常に早く、生命を脅かすがんとして知られています。
「甲状腺がん」は、そのほとんどが分化型のおとなしいがんです。病気の進行もゆっくりしていることがほとんどです。そのため、がんが小さい段階では、ご自身で気づかれることは難しいと思います。健康診断や、他の病気で検査などを受けた際に、偶然発見されることもあります。ある程度腫瘍が大きくなると前頸部に固いしこりとして触れる場合や、周囲の臓器、例えば反回神経(声帯を動かす神経)に浸潤することで声嗄れ(嗄声)が出現することがあります。
甲状腺がん(乳頭がんの場合)と診断を受けた場合でも、その後の経過で生命に関わるようなことはほとんどありません。しかし、進行の早いタイプのがん(未分化がんなど)では、頸部の痛み、声嗄れ(嗄声)、飲み込みにくさ(嚥下障害)、息苦しさ(呼吸苦)、全身倦怠感など重篤な症状を伴うことがありますので、まずは専門病院にご相談になることが大事だと思います。

口腔がん

口の中にできるがんを「口腔がん」と呼びます。「口腔がん」の代表的なものに「舌のがん」、すなわち「舌がん」があります。その他にも、「口腔底がん(舌と歯ぐきの間にできるがん)」、「歯肉がん(歯ぐきのがん)」、「頬粘膜がん(頬の内側の粘膜にできるがん)」などが含まれます。
「口腔がん」は、口の中の病気であるため、ご自身で気づかれることが多いという特徴があります。はじめは、硬いしこりとして触れるだけのことが多いです。腫瘍のかたちは、盛り上がっていたり(外向型)、へこんでいたり(内向型)とさまざまです。特に「舌がん」の場合には、舌が部分的に白くなっていたり(白斑:はくはん)、赤くなっていたりすること(紅斑:こうはん)もあります。口内炎と思っていても、同じ場所が1ヶ月以上経っても治らない場合には注意が必要です。また、病気が進行してくると、舌の運動が悪くなることで話しづらくなってきたり(構音障害)、飲み込みづらくなってきたり(嚥下障害)しますので、そのような場合には、早めの受診をおすすめします。

鼻腔がん・副鼻腔がん

「鼻腔(びくう)」は、鼻で呼吸をするときに、最初に空気が通る道です。その内部は、「鼻中隔」と呼ばれる鼻の仕切りで左右の鼻腔に分けられています。鼻腔内には3つのひだがあり、それらのひだはその位置から「上鼻甲介」、「中鼻甲介」、「下鼻甲介」と呼ばれています。それらの「鼻甲介」を含め、鼻腔内は全て鼻粘膜で覆われており、そこから発生したがんを総じて、「鼻腔がん」と呼んでいます。一方、「副鼻腔」とは、鼻腔の周囲にある空間(洞)のことを言います。「前頭洞」「上顎洞」「篩骨洞」「蝶形骨洞」と計4つの空間(洞)が存在しています。いわゆる「蓄膿症(ちくのうしょう)」とはこれらのいずれか、もしくはそれらの組み合わせ(全て)が感染し、炎症がある状態を呼んでいます。「副鼻腔がん」とは、すなわち蓄膿症が起こる場所に発生したがんのことです。これら4つの副鼻腔のうち、特にがんが発生しやすい部位は、上顎洞で、「上顎洞がん」と呼んでいます。鼻・副鼻腔がんは頸部リンパ節への転移が少ないことが特徴です。

●鼻腔がん
鼻の違和感、鼻の痛み(鼻痛)、鼻血(鼻出血)、鼻水(鼻汁)、鼻づまり(鼻閉)などの症状が出現します。
●副鼻腔がん
「副鼻腔」は左右4対あり、部位も異なるため、がんの発生する部位で症状は変わります。また、副鼻腔を取り囲む骨は薄いため、がんは比較的隣接臓器へ進展し易く、それらの臓器特有のさまざまな症状を呈します。また、眼や脳といった重要な臓器が副鼻腔に隣接しているため、これらの臓器に浸潤することで、眼の症状や頭の症状が出現してきます。
具体的には、
・副鼻腔がんが眼の方向へ進展した場合:眼が突出したり(眼球突出)、物が二重に見えたりします(複視)
・副鼻腔がんが鼻腔へ進展した場合:鼻閉、鼻出血、鼻汁、頭痛、涙が出るなどの症状が出現することがあります。
・副鼻腔がんが上あご(口蓋)へ進展した場合:歯が浮いた感じ、歯ぐきの腫れ、歯痛、上あごの腫れなどがみられます。
・副鼻腔がんが顔の奥へ進展した場合:頭痛、眼球突出、眼の動きの障害(眼球運動障害)、視力の低下(視力障害)、視野の障害(視野障害)などがみられます。
・副鼻腔がんが顔面方向へ進展した場合:顔の赤み、腫れ、痛みなどの症状がみられます。

●唾液腺がん
「唾液腺」とは、口腔内に唾液を分泌する臓器です。左右3対の「大唾液腺(耳下腺・顎下腺・舌下腺)」と多数の「小唾液腺」があります。その中で最も大きい組織が、「耳下腺」で、耳の前から下にかけて存在しています。おたふく風邪のときに腫れるところと言えばわかり易いかも知れません。その次に大きな唾液腺が、「顎下腺」です。顎下腺は、あごの下で、少し後ろ側にあります。それらの腺から作られた唾液が、口腔内に分泌され、口の中を潤したり、食事の際には、消化を助けたりする働きをしています。「唾液腺がん」とはこれら唾液腺組織から発生したがんのことですが、耳下腺に発生した場合には、耳下腺がん、顎下腺に発生した場合には、顎下腺がんといったように、それぞれ発生した腺組織で病名が決められています。唾液腺がんは、頭頸部がんの中でも、頻度の少ないがんです(全頭頸部がんの内、5%未満)が「耳下腺がん」と「顎下腺がん」でそのほとんどを占めています。すなわち、「耳下腺がん」が7割程度、「顎下腺がん」は2〜3割程度です。舌下腺がんの頻度はさらに低くなります。
唾液腺がんは、病理組織型の種類が非常に多いことが特徴です。さらに同じ組織型であっても臨床的な悪性度が異なることがあり、治療計画が難しくなってしまいます。通常、がんの診断には、まず組織検査を行い、病理診断がついてからの治療となりますが、唾液腺がんの場合には、治療前の検査で診断がつけにくいという側面があるため、術前の診断では良・悪性の判断がつかないことがあります。そのため、悪性が疑われていても、手術前にはっきりとがんと診断がついていない場合には、手術中に腫瘍組織の一部を病理組織検査へ提出(術中迅速診断)し、その場で診断をつけて、手術内容を決定する必要があります。その際には、最終的な診断(最終病理診断)ががんであっても十分に治療として完結できるような治療内容が求められます。これは他の頭頸部がんがほとんど「扁平上皮がん」という単一の組織型から構成されているのと大きく異なる点です。

●耳下腺がんの場合
はじめは、耳下部、耳前部の腫れで自覚されます。通常は痛みのない腫れのことが多いのですが、痛みを伴うこともあり、その場合にはがんの可能性が高くなります。また耳下腺の中には顔面神経と呼ばれる、顔を動かす神経が走っているため、がんがこの神経に浸潤すると顔面神経麻痺という顔の麻痺が起こることがあります。その他に、頸部リンパ節転移の結果、頸のしこりとして自覚されることもあります。
●顎下腺がんの場合
顎の下の腫れで気付かれることが多いです。耳下腺がんと同様に腫れた腫瘍に痛みを伴うことがあります。耳下腺がんと同様、頸部リンパ節転移を首のしこりとして自覚されることもあります。
●舌下腺がんの場合
口腔底が腫れてきたり、顎の下が腫れてきたりします。口腔がんの項目で説明した「口腔底がん」との見分けがつけづらいことも多く、病理検査で診断がつくことがあります。また、頸のしこりとして自覚されることもあります。

整形外科

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整形外科では骨、関節、筋肉、靭帯、神経といった運動器の外傷や疾患を扱う科です。具体的には変形性関節症(膝、股関節)、スポーツ障害、骨折・脱臼・捻挫といったけが、関節リウマチ、骨粗鬆症、五十肩、腱板断裂、手の疾患などに対して投薬やリハビリといった外来診療を行うとともに、必要があれば手術療法を行っていきます。

対象疾患

変形性関節症(膝関節、股関節)

軟骨のすり減りにより、歩行時や階段の昇り降りで膝あるいは股関節に疼痛が出現してくる病気です。近年、変形性関節症により、歩行困難、寝たきりとなる高齢者が急増しています。当院では、このような変形性関節症に対し外来診療として投薬、ヒアルロン酸注射、リハビリ指導を行い症状の改善および病気が進行しないように予防を行っていきます。外来診療で症状の改善が得られない患者さんに対しては、人工関節手術を行っていきます。人工関節手術は、痛みの著しい改善と早期回復が期待できる手術です。
この他、当院では再生医療「PRP(多血小板血漿)療法」を行っています。再生医療とは、「細胞」を使った新たな医療です。PRP療法は患者さん自身の血液から作ったPRPを患部に注射する治療法です。

一般外傷

けがといっても骨折、脱臼、靭帯損傷、神経障害などさまざまな病気があります。
これらの病気を放置するといつまでも痛みが残ってしまったり、動きが悪くなってしまったり後遺症を生じます。そのため、けがをされた際は、早期に正確な診断と適切な処置(ギブス固定など)が必要となります。当院では、より早期に正確な診断をする目的としてCTやMRIを完備しています。骨折で骨のずれが大きい場合などは手術が必要であり、当院では全身の骨折治療を幅広く行っています。

スポーツ外傷・障害

スポーツ外傷はスポーツにより発症し、多彩な病態を含むため適格な診断と治療を要します。当院では日本体育協会認定スポーツドクターが診察し、競技レベルにあった治療を行っていきます。

関節リウマチ

全身の関節が壊れてしまう関節リウマチに対しては早期発見が重要です。発見とともに最新の生物学的製剤を含めた薬物療法を行っていくことで関節破壊を阻止できます。薬物療法の効果なく、関節の変形が進行してしまった場合は、手術療法を行います。

骨粗しょう症

骨粗しょう症は、単に骨がもろくなるだけでなく骨折や背骨・腰骨の変形をきたし、全身の痛みを起こし、増悪するといずれ寝たきりを引き起こす病気です。現在は内服薬や注射薬の有用性が証明されており、骨粗しょう症の悪化を防ぐことが可能です。

五十肩、腱板断裂

肩の痛みと動きが悪くなる病気を五十肩(肩関節周囲炎)といいます。五十肩は50代のみでなく30代~80代まで幅広く発症します。五十肩の治療は早期の症状改善が効果的であるため整形外科で適切な治療を受けることが大切です。また、五十肩と似た症状をきたす病気に腱板断裂や石灰沈着性腱板炎といった病気もあります。これらは五十肩とは病態が異なるため治療も異なってきます。当院では肩関節専門ドクターが診察し、的確な診断と治療を行っていきますので、肩関節に関してお困りの症状がありましたら受診ください。



皮膚科

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皮膚科は皮膚表面から皮下脂肪に発生する疾患及び爪、毛髪に発生する疾患に対して内科的あるいは外科的に治療を行う診療科です。幅広い皮膚疾患を対象に診療を行っています。

対象疾患

湿疹・皮膚炎(接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎など)、蕁麻疹、薬疹、皮膚潰瘍、皮膚良性腫瘍、皮膚悪性腫瘍、皮膚のウイルス・細菌・真菌感染症。

対象疾患

次のような症状が見られる場合は皮膚科にご相談ください。

●皮膚が赤くなりぶつぶつがでる(湿疹、アトピー皮膚炎など)
●皮膚が乾燥してかゆくなる
●皮膚がカサカサして紅くなる(尋常性乾癬など)
●皮膚にかゆみがある
●皮膚に蕁麻疹がでる
●皮下または爪の下に出血がある(紫斑病、血腫など)
●黒や赤のアザがある
●皮膚に水ぶくれがある(水疱症など)
●皮膚または皮下に腫瘤(できもの)がある
●痛みを伴う発疹がある(皮膚細菌感染、帯状疱疹など)
●足や爪の水虫
●毛髪が抜ける
●爪が変形する(爪甲剥離症、陥入爪など)


泌尿器科

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泌尿器科では、尿路(尿の流れる路)に関係する臓器(腎臓・尿管・膀胱・尿道)に加え男性生殖器・内分泌臓器(陰茎・精巣・前立腺・副腎)の病気を取り扱います。
具体的には以下に挙げた疾患が該当します。

対象疾患

●尿路性器悪性腫瘍(腎細胞癌、腎盂尿管癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣癌、陰茎癌)
●排尿障害(前立腺肥大症、過活動膀胱、神経因性膀胱、間質性膀胱炎)
●尿路結石症(腎・尿管結石症、膀胱結石症)
●内分泌系(副腎疾患)
●性機能障害(勃起不全、男性更年期障害)
●小児泌尿器科(膀胱尿管逆流症、先天性水腎症、停留精巣、包茎)
●婦人泌尿器科(骨盤臓器脱、腹圧性尿失禁)
●尿路性器感染症(腎盂腎炎、膀胱炎、前立腺炎、精巣上体炎、性感染症)


当科では日本泌尿器科学会専門医・指導医の資格を持つ医師による診察を行っています。排尿時の痛み、尿が近い、尿の出が悪い、残尿感がある、尿が漏れる、などの排尿に関するお悩み、性機能に関するお悩み、その他日常生活で気になる症状がありましたらお気軽にご相談ください。


糖尿病内科

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糖尿病内科では糖尿病はもちろんのこと糖尿病と併存する可能性の高い高血圧症や脂質異常症、メタボリックシンドローム、高尿酸血症などの生活習慣病や睡眠時無呼吸症候群を中心に診療を行います。


対象疾患

糖尿病

糖尿病は1型や2型のみならず、膵外分泌疾患や内分泌疾患や肝疾患、薬剤などによるさまざまな糖代謝異常で発症します。糖尿病の治療目標は、「健康な人と変わらない生活の質(QOL)の維持と寿命の確保」です。
境界型糖尿病や軽症糖尿病に対しては栄養指導、運動療法が基本となります。血糖、ヘモグロビンA1c、グリコアルブミン、インスリン、尿中微量アルブミンなどの重要検査ともに当科では、14日間の血糖プロファイルが確認できるフラッシュグルコースモニタリング(isCGM)も可能です。ただし、isCGM対象患者については糖尿病の病識を有し、強化インシュリン療法に準ずる患者に限定されます。
入院ができないインシュリン適応患者に対しては、インスリン自己注射の外来導入(自己注射指導および血糖自己測定指導)も行います。糖尿病の厳密なコントロールが必要でかつ強化インシュリン療法中の場合には、isCGMを用いた短期(3-14日間)の教育入院も行います。教育入院により、個々の患者の行動変容のきっかけを見出せるよう支援します。isCGMを用いた短期(3-14日間)の教育入院での検査項目では、以下の検査も同時に行います。
●網膜症:近医眼科に依頼し糖尿病手帳へ記載
●腎症:eGFR・尿中アルブミン(尿中蛋白)測定
●神経障害:神経伝達速度測定
●冠動脈疾患:心エコー・採血(BNP or NT-proBNP)
●大血管病変:頸動脈や下肢動静脈エコー・ABI(血管狭窄の状態を調べる検査)
●非アルコール性脂肪性肝疾患:腹部エコーでのエラストグラフィによる肝線維化の評価(肝臓の硬さを調べる検査)
●足病変:潰瘍や巻き爪等、病変の評価

生活習慣病(高血圧症・高脂血症・高尿酸血症など)

生活習慣病とは、食生活や運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣によって引き起こされる病気の総称です。生活習慣病の種類分けに明確な定義はありませんが、長年の生活習慣が原因となって引き起こすさまざまな病気を指します。
当科では生活習慣病の予防管理も行います。生活習慣病は糖尿病以外に肥満や高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症、アルコール性肝疾患、肺気腫、慢性気管支炎等のCOPD(慢性閉塞性肺疾患)など広きに渡ります。特に、糖尿病、肥満、高血圧症、脂質異常症は生命に関わる重篤な疾患=脳卒中などの脳血管障害、心筋梗塞・狭心症などの心疾患を生じさせる4大危険因子です。生活習慣病の早期発見、早期治療が重篤な疾患=脳卒中などの脳血管障害、心筋梗塞などの心疾患の発症予防に非常に重要です。診療、検査を通じて、「健康な人と変わらない生活の質(QOL)の維持と寿命の確保」できるようにサポートしてまいります。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は高血圧や糖尿病の原因としてガイドラインにも挙げられています。睡眠時無呼吸症候群は無呼吸により慢性的な睡眠不足状態になり、体内のホルモンバランスや自律神経に大きな影響を与えます。食欲を抑えるホルモンである「レプチン」分泌は減少し、逆に食欲を高めるホルモンである「グレリン」分泌が亢進し、食欲が増大することで糖尿病が起こり易くなります。
「自律神経」の1つである「交感神経」が活性化し、「カテコラミン」(アドレナリンの元)が過剰に分泌されます。そうなると、血糖値や血圧が上昇し、脂肪が増加しやすくなります。また、「成長ホルモン」の分泌が低下し、筋肉が減って脂肪が蓄積されやすい状態になります。脂肪が増えると体内の「インスリン」が正常に働かなくなってしまいます。この状態が慢性化したのが糖尿病です。
上記の「カテコラミン」は血圧を上昇させてしまいます。早朝や夜間(寝ている時)に高血圧になりやすく、降圧薬の治療では非常に難治性です。睡眠時無呼吸症候群は治療可能な病気であり、高血圧や糖尿病も発症前であれば予防にもつながります。睡眠時無呼吸症候群の検査には腕時計タイプの機械(パルスオキシメーター)を用いる簡易検査と、さらに詳しい確定診断のための終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)があります。両検査とも、在宅で行える時代になり入院の必要はありません。ただし、月1回の定期受診を要します。
睡眠時無呼吸症候群の治療を怠ると、以下の3点が問題になります。
①日中の眠気、倦怠感、頭重感、不眠症などの症状
②高血圧、糖尿病にかかり易くなり、心不全や心筋梗塞、不整脈や脳卒中などのリスクが上がること
③居眠り運転などの交通事故頻度が増えること
これらの3点どれをとっても、大きな不利益となります。大きないびきや寝ているときに呼吸が止まっていると家族に指摘されている際は、ぜひご相談ください。

乳腺外科

外来診療のご案内  


乳腺外科では乳がんを中心とした乳腺疾患の診断と治療を行っています。乳がんは近年増加しており、特に比較的若年の家庭や職場で重要な役割を担う女性に多く発生する病気です。当科では乳がんで苦しむ患者さんやご家族を少しでも減らせるように、日々診療を行っています。
診断に関しては、最新のデジタルマンモグラフィや超音波を導入して画像診断を行っています。マンモグラフィに関しては、複数の読影認定医による画像の確認(ダブルチェック)を行っています。必要があれば、病理医と連携して細胞診や生検を、放射線読影医と連携してMRIやCT検査を行っています。
治療に関しては、標準療法による治療を原則としています。特に乳がんは他の臓器のがんと比較して標準療法が整っています。標準療法は数年ごとに更新されますが、日本、欧米ともに比較的充実しており、「ガイドライン」として公開されています。当科では、日本乳癌学会による「乳癌診療ガイドライン」を始め、米国の「NCCNによる診療ガイドライン」、欧州のザンクトガレン会議による「薬物療法ガイドライン」等を中心に最新の知見を加味して治療方法を決定しています。
当科の診療方針に関して、疑問な点がある場合や、他の医療機関に相談したい場合はセカンドオピニオンを利用することができます。単独の医療機関での知見だけではなく、より多くの専門家の意見を聞くことが有用なこともあります。希望される場合は遠慮なく申し出てください。

対象疾患

乳がん

乳がんは乳腺にできる悪性の腫瘍です。乳がんは近年増加しており、現在、日本人女性の12~13人に1人が一生涯のうちに乳がんになる頻度となっています。今後さらに増加することが予想されています。乳がんは他の臓器にできるがんと比較して、若年(30歳代後半~40歳代)からできることがあります。また、近年は50~60歳代の乳がんが増えてきています。従って、すべての成人女性は乳がんになる可能性があると自覚することが大切です。乳がんは他の臓器にできるがんと比較して、治療成績が良い腫瘍です。早期発見のために積極的に検診を受けることがなにより重要です。また、乳腺は自分で触ることができる臓器なので、自分でしこりや分泌などの異常がないかどうかを確認することができます(自己健診)。下記の症状を参考にして月に1度自己健診を行うことを心がけましょう。

乳腺の良性腫瘍

乳腺には良性の腫瘍も発生します。線維腺腫や過誤腫が代表的なものです。良性腫瘍はとくに50歳未満の比較的若年の女性に多く発生し、がんよりも頻度は高いです。良性腫瘍は典型的なものでは治療の必要はありません。ただし、悪性の腫瘍と見分けづらいものや、痛みなどの症状がある場合、大きなものは治療の対象となることがあります。

その他の乳腺腫瘍

頻度は低くなりますが、乳腺には良性と悪性の境界の腫瘍が発生することがあります。葉状腫瘍や乳頭腫が代表的なものです。これらは、大部分が良性の腫瘍ですが、まれに悪性のこともあるため、基本的には精査および治療の対象となります。治療には手術が必要ですが、がんとは切除の方法が大きく異なります。

乳腺症

乳腺症とは、乳腺が女性ホルモンの影響を受けて良性の変化を起こしたものをいいます。その変化の中で、症状として、乳腺の痛みや張った感じ、一時的に硬くなった感じなどが出現します。また、超音波(エコー)検査では、のう胞(体液が貯留したもの)が見られることがあります。閉経前の女性では生理の前後に症状が出やすいですが、閉経後の女性にも発生します。乳腺症は軽いものを含めると、大部分の女性が持っていますので、臨床上はほとんど治療の対象とはなりません。乳がん検診などで、「乳腺症があります」と言われた場合は、基本的には「問題ありませんでした」と言われたと同じととらえて構いません。症状が強いときや、のう胞が大きな場合には精査をしたり、治療を行うことがあります。

乳腺炎

乳腺炎は乳腺に炎症がおきることで、授乳期に乳汁が詰まったり、授乳期ではなくても、乳腺に感染を起こすことにより発生します。授乳期であれば授乳や母乳マッサージによる搾乳を行うことで大部分は改善します。授乳と関係がないものでも無治療や抗生剤の投与で改善することも多いです。当科では、授乳期には乳児に影響が無いとされる薬のみを処方しています。乳腺炎はときに重症化して膿が溜まり、乳腺膿瘍となることがあります。その場合は穿刺(針を刺すこと)、洗浄を行ったり、切開して排膿する処置が必要となります。これらは病態によっては必要な処置ですが、一度切開を行うと炎症や膿瘍が将来的に再燃する可能性が高くなります。

症状

しこり

乳がんが発見される最も多い症状がしこりです。良性の腫瘍でも、しこりを触れることがあります。月に1度程度自己健診を行うことが大切です。乳がんの場合は硬いしこり(梅干しの種くらい)として触れることが多いです。良性のしこりは柔らかく、弾力があり、押すと移動することが特徴といわれますが、しこりに気がついたときは乳腺外科を受診しましょう。しこりを触れないタイプの乳がん(非触知乳がん)もありますので、定期的な検診(年1回が基本)を受けましょう。

分泌

授乳期以外に乳頭から分泌がある場合は基本的には異常があるとみなされます。乳腺外科を受診してください。大部分の分泌は良性の病気、または病的な意味がないものですが、乳がん、特に早期の乳がんで分泌を認めることもあります。中でも、分泌が一方の乳腺からのみで、色の濃い分泌(赤または茶色)の場合は注意が必要です。

痛み

痛みは乳腺に出る大変頻度の多い症状です。大部分の痛みは心配のない(良性の)痛みです。治療を行わなくても、自然に軽快して無くなることが多いです。特に生理前後にだけ発生する痛みや痛む場所がころころ変わるような痛みは心配のない痛みです。また、毎日乳腺を触ったりすると刺激により痛みが出現しやすくなります。自分で乳房をチェックすることは大切なことですが、月に1~2回程度で十分です。痛みが原因でがんなどの病気が見つかることもあります。痛みが持続(1か月以上)する場合や痛みが強くなり、がまんできない場合は乳腺外科を受診してください。

乳頭の症状

上記の分泌以外に、乳頭の形に変形があったり、乳頭がひきつれて先端の方向が変わったり、乳頭を中心に皮膚のただれがある場合には病気が見つかることがあります。陥没乳頭(乳頭陥凹)は以前になかったものができた場合は注意が必要ですが、生まれつきの場合は病的な意味合いはありません。

皮膚の症状

皮膚のくぼみ(えくぼ様)や飛び出し、変色(赤み)がある場合は注意が必要です。乳がんではこれらは痛みを感じない場合がほとんどです。以前になかったこのような症状が新たに出てきた場合は乳腺外科を受診してください。

腋(わき)の症状

乳腺に明らかな異常がなくても、腋にしこりがあり、精査を行ったところ、乳がんなどの病気が見つかることがあります。腋のしこりの多くはリンパ節の腫れです。特に、痛みがなく、急に大きくなってきた腋のしこりがある場合は注意が必要です。乳房の自己健診を行うときに、腋も簡単にチェックするといいでしょう。

婦人科

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婦人科は女性の総合的なケアを考えた外来を行っております。婦人科の一般検診、腫瘍、子宮脱、尿漏れ、子宮内膜症、更年期・骨粗鬆症、婦人科漢方など、ほとんどの分野を対象としております。入院・手術が可能で、低侵襲でかつコスメティックにも優れているとされる内視鏡下手術(腹腔鏡下・子宮鏡下手術)が中心の手術を積極的に行っており、また悪性腫瘍に対しては完治を目指した集学的な治療を行っております。さらに女性特有の子宮脱、尿漏れなどの症状には、機能回復を目標に根治を目指しております。

主な疾患について

婦人科悪性腫瘍

子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんなどが挙げられます。
子宮頸がんはヒトパピローマウィルスが原因でがん化をきたすと指摘されておりますが、受診時の状況、年齢、ウィルスのタイプに合わせた治療を行っております。
子宮体がんは閉経後不正出血や検診で偶然見つかることが多いがんですが、発見し次第なるべく早く手術療法を行うようにしております。
卵巣がんは近年徐々に増えている難治性がんのひとつです。症状が出にくいため、発見時はかなり進んだ状況で発見されることが多いのですが、根治手術と術前術後の化学療法が期待できるがんです。
多くの悪性腫瘍を診察してきた婦人科腫瘍専門医が診察し、専門の病理医、最新鋭の画像機器と放射線読影医が迅速なる診断を提供してくれます。可能な限り待たせない医療をめざし、腫瘍専門医が広汎性子宮全摘術や骨盤・傍リンパ節郭清術などを行います。輸血を極力回避し、早期根治を目指す治療を行っております。また、化学療法、放射線療法も当院で完結します。他院で治療がもう難しいといわれた方の治療も検討しております。

婦人科良性腫瘍

卵巣腫瘍に限らず子宮筋腫に対しても、多くの手術を腹腔鏡下にて行っております。
卵巣腫瘍は腫瘍部分だけを核出し正常部分をなるべく残存することで機能を温存することに心がけております。
子宮筋腫におきましては、ご希望があれば年齢に関わらず子宮温存手術を行っております。低侵襲かつ美容に心がけた手術が特徴です。またホルモン療法で手術を回避し、子宮筋腫の縮小をはかる治療も行っております。

子宮脱、尿漏れ

人にはあまり言えない病状ですが、外陰部に触れるものがあることで婦人科を受診されることが多い病態です。この場合、子宮が降りてきたり膀胱が下垂したりして触れます。他の症状として、お小水が近かったり、おなかに力が加わった際に尿が漏れたりします。過去に重いものをよく持つ機会がある、便秘、難産の経験などが原因となって、骨盤の筋肉や組織が損傷を受けることが原因です。この場合、病状の改善や排尿困難を改善するため、機能回復をめざした手術療法、薬物療法を行っております。メッシュ挿入術、子宮摘出術、腹腔鏡による子宮脱手術など、患者様の病態、体格、年齢などを考慮し手術術式を決定します。尿漏れは最新のメッシュを使った根治術を施行しております。

子宮内膜症

多くの女性は、毎月子宮内膜が剥離し、月経となって体外へ排出されます。この子宮内膜が、骨盤腹膜や、卵巣などの中に入り込み増殖する場合を子宮内膜症と呼びます。 月経に伴って組織の中に出血するため月経痛が強く、慢性的な骨盤痛や性交痛を訴えるかたもいます。不妊の原因のひとつとも考えられています。ホルモン療法、手術療法、薬物療法など様々な治療法があり、患者様と相談して一人一人に合った治療法を検討いたします。

放射線治療科

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主治医の先生から「がん」と言われたり、放射線治療を勧められたりしたらご相談ください。

対象疾患

根治的放射線治療:頭頸部がん(咽頭がん・喉頭がん)、食道がん、肺がん、乳がん、膵臓がん、前立腺がん、膀胱がん、子宮頸がんなど

一般的に以下の場合、根治的な放射線治療が可能です(病気によって異なります)。

●病理組織学的にがんと診断されている、あるいはがんと強く疑われる。
●複数の遠隔転移が存在しない。
●全身状態が良好である。
●放射線治療中の姿勢保持が可能。

姑息的放射線治療:骨転移、脳転移、上大静脈症候群、脊髄不全麻痺など

がんに伴う症状(痛み、圧迫、出血など)を抑える・改善するための放射線治療です。根治的放射線治療と異なり、あまり全身状態などの制限はありません。

いずれも病気の進行度やからだの状態により、放射線治療が可能かどうかは変わってきます。

放射線治療について

放射線の種類

放射線にはさまざまな種類がありますが、がん治療に使われるのは光子線(X線、ガンマ線)と粒子線(陽子線・炭素線)があります。以下はX線治療に関する説明です。

なぜ、がんに効果があるのか?

放射線は原子核の周囲を回っている電子をはじき飛ばします。細胞の中ではじき飛ばされた電子は、細胞核の中にあるDNAを切断してしまいます。細胞にはDNAを修復する力があり、通常、切断されても数時間で修復されます。一方DNAが修復されなかった場合、細胞は分裂し生存することが出来なくなり、数時間から数十日を経て死んでいきます。
放射線は分裂が盛んな病気ほど影響を及ぼしやすい性質を持っています。がん細胞は正常細胞に比べて分裂が盛んなので、がんのある場所に放射線を照射すると、正常細胞は修復されますが、がん細胞は修復が追いつかずに段々と死んでいきます。この差を利用することにより、がん細胞を死滅させ、正常組織を残すことが可能になります。従って、正常臓器の機能や形態を残しつつ、がんを根治することが可能な治療法です。

対象疾患

がん治療には大まかに分けて、がん病巣を治療する局所治療と、全身を治療する全身治療があります。全身治療の代表が抗がん剤治療、局所治療の代表が手術と放射線治療です。放射線治療の対象は①手術と同じく遠隔転移が無いがん(根治的放射線治療)②がん病巣による痛みなどの症状がある場合(姑息的放射線治療)に大まかに分けられます。
特に早期の頭頸部がん、乳がん、食道がん、肺がん、前立腺がん、膀胱がん、子宮頸がんに対する放射線治療は手術と同等の治りやすさで、臓器の温存が可能というメリットがあります。また進行がんでも抗がん剤を併用することにより、手術に劣らない成績の疾患も多数あります。
一般的に放射線治療が行えないがんの種類はありませんが、胃がんや大腸がんなどの、臓器自体があまり放射線に対して強くない疾患では、放射線治療が有効とはいえないのが現状です。

放射線治療の種類

放射線治療は、からだの外から放射線を照射する外照射と、からだの内部から放射線を照射する内照射に大別されます。現在、放射線治療の中心は外照射で、当院にて受けられる治療も外照射となっています。
当院で行っている外から放射線を照射する治療法は、三次元原体照射と呼ばれるものです。これは多数の方向から、がん病巣の形に合わせて放射線を照射する治療法です。この三次元原体照射をさらに進化させたのが、定位放射線治療や強度変調放射線治療(IMRT)になります。
定位放射線治療とは、ごく狭い範囲に放射線治療を集中させ、がんだけに高い線量が当たるようにしたピンポイント治療のことです。一般的な放射線治療(3次元原体照射)に比較して、副作用は少なく、短期間で高い効果が得られます。主に病変の小さい肺がん、肝がん、脳腫瘍に対して行われます。
強度変調放射線治療(IMRT)は、名前に表されるとおり、複数のビームを組み合わせることで放射線に強弱をつけ、一方向のビームの中に線量の高い部分と弱い部分を意図的に作る治療法です。IMRTによりがん病巣に放射線を集中し、周囲の正常組織への照射を減らすことができるため、副作用を増加させることなく、よりたくさんの放射線をがん病巣に照射することが可能となります。日本でも急速に普及しつつあり、特に前立腺がんや頭頸部がんで高い効果を発揮しています。
当院では、この定位放射線治療と強度変調放射線治療の両方に優れた、最新の治療装置を備えています。またより効果を高め、副作用を減らすために画像誘導放射線治療(IGRT)も積極的に行っています。

放射線治療の手順

最初に放射線治療医の診察を受け、治療に必要な検査を行い、治療方針や内容について話し合います。その後、まず治療中に体が動かないようにするための固定具を作成、放射線の治療計画を行うためのCT(コンピュータ断層撮影)画像を撮像します。このCT画像を使い、放射線治療医と医学物理士が治療計画を立てることになります。
治療計画とは、その患者さんにとっての放射線治療の「設計図」ともいえる、重要なものです。治療計画用に撮像したCTを専用のコンピュータに取り入れ、どの範囲に、どの方向から、どのくらいの量を、何回にわけて照射するのかを決めていきます。治療計画が出来上がった後、実際に装置を操作する放射線技師が確認します。その際に患者さんの皮膚に印(マーキング)を付ける場合があります。その後実際に治療可能か、確認が終了してから放射線治療が開始になります。

放射線治療の回数

根治的放射線治療は通常、月曜日から金曜日の週5日、1日1回の照射を5~8週間続けることになります。1回の放射線治療は20分程度です。治療中は定期的に診察があり、医師により効果の判定や、副作用のチェックが行われます。
放射線治療はがん細胞と正常細胞の、放射線に対する修復力の差を利用した治療法です。実際にはこの差は大きなものではありません。両者の差を広げるための工夫が必要になります。あまり沢山の放射線を一度に照射するとがん細胞も正常細胞もやられてしまいます。1回の放射線の量を少なくし、またがん細胞の修復を少なくするために、継続的に治療を行う必要があります。がんの根治を目指すためには、総線量は通常60~70Gyという多くの放射線量が必要です。

治療効果

放射線治療は、がん細胞のDNAを切断して細胞分裂を止め、細胞が自滅するように導く治療法です。従って、放射線治療を開始してから、がん細胞が死滅するまでにはタイムラグがあります。最初は細胞レベルでの変化が起こり、見て分かる効果が現れるまでには、ある程度の期間が必要です。その期間はがんの種類によって異なります。悪性リンパ腫では治療開始直後から病変が縮小していきますが、扁平上皮がん、腺がんなどの種類では治療中盤から後半にかけて病変が縮小していきます。また放射線治療がすべて終了してからがん病巣が縮小していくがん種も存在します。

副作用について

放射線の細胞を壊す力は正常細胞にもダメージを与えます。その結果、さまざまな副作用(有害事象)が生じることになります。放射線治療による副作用は、その発生時期から2種類に大別されます。
治療中に起こる副作用を急性期有害事象と呼びます。これは多かれ少なかれ放射線治療を行った患者さん皆さんに生じます。急性期の有害事象では放射線が照射された部位の炎症が生じます。例を挙げますと、皮膚に放射線が照射されれば放射線皮膚炎、食道に放射線が照射されれば放射線食道炎、などが生じます。治療後半になるとこれら炎症による症状が出現していきますが、放射線治療が終了すると徐々に改善し、元に戻ります。
一方、注意が必要なのが晩期有害事象です。これは放射線治療が終了してから数か月、あるいは数年以上経過してから起こる副作用です。皆さんに起こる訳では無く、放射線治療を受けた患者さんのうち、数%に生じる可能性があります。起こる可能性は少ないのですが、一端起こってしまうと症状が強かったり、なかなか治りづらかったりします。従って、放射線治療が無事終了した後も、定期的な経過観察や検査が非常に重要です。

放射線治療期間中の生活

一般的に手術とは異なり放射線治療は外来通院でも治療可能です。放射線治療自体は数~数十分で終わり、また全身的な副作用も生じません。従って仕事や家事などを行いながら治療を受けていらっしゃる患者さんもたくさんいます。抗がん剤治療を併用する場合には一般的に入院治療が必要です。 たばこは放射線治療の効果を弱め、副作用を強くしてしまう働きがあり、治療中は禁煙が必須です。お酒は放射線治療の部位によりますが、機会があるときに少量であれば構いません。入浴は可能ですが、放射線が当たる範囲の皮膚は弱くなっているので、ゴシゴシ擦らないようにし、皮膚の“しるし”(マーキング)を消さないようにする注意が必要になります。

セカンドオピニオン外来も行っております。

放射線診断科

ドクターのご紹介


画像診断機器は日進月歩で発達しており、さまざまな種類の画像が撮影され、さらに撮影された画像の後処理技術も多岐にわたり、専門の処理技術が必要となっています。画像の中に描出されている病態の解釈にも専門的な知識が必要となっています。医療の専門化・細分化が進む中で、画像診断科は画像診断に特化した専門の医師が担当し、主治医と協力して患者さんの病態診断および治療に画像情報を最大限有効活用するために日々努力しています。 当院では2人の画像診断専門医がCTとMRIの画像診断を担当しており、320列と80列の多断面撮影が可能なCTが各1台、1.5T(テスラ)と3TのMRIが各1台稼働しています。 CTやMRIはただ撮影すればよいという訳ではなく、主治医と綿密に連携し、限られた検査時間の中で病態診断に必要な情報が得られるよう撮影法の調整、最適化が必要です。診療放射線技師と協力し、撮影法の最適化を図るのも放射線画像診断医の役割です。 一方、当院の関連施設には他に4人の画像診断専門医が所属しています。各施設の画像情報は専用のインターネット回線で結ばれており、定期的な勉強会の他、画像所見について常時、相談し合える環境を整えています。 普段、患者さんと接する機会はあまりありませんが、病院内の他の職種と同様に、主治医と協力して患者さんへ最良の医療を提供するように努めています。

形成外科

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形成外科とは身体に生じた組織の異常や変形、欠損、整容的な不満足に対して、あらゆる手法や特殊な技術を駆使し、機能だけでなく形態的にも正常に、美しくすることによって、QOL(生活の質)の向上に貢献する外科系の専門領域です。
傷や変形をきれいに治すことを主な目的とし、必要に応じて他科の専門医と協力して治療を行っています。

対象疾患

●けが
●やけど
●あざ
●腫瘍
●先天異常
●皮膚潰瘍

ペインクリニック外科

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ペインクリニックは、さまざまな痛みの診断、治療を行う「痛み専門の診断治療部門」です。「痛み」はとても複雑で深刻な問題です。これまで多くの疾患の診断学が飛躍的に進歩してきましたが、痛みそのものに対する診断・治療は確立されてきませんでした。その理由は、痛みそのものがどの程度のものかなどの客観的な評価が難しい主観的な経験、感覚である症状の一つだからです。近年、痛みに対する研究や治療方法の発達により、ある程度、痛みの仕組みは明らかになってきています。例えば、長く続く痛みにより、「痛みの悪循環」に陥り、痛みそのものが強くなり難治性となってしまうことがあります。痛みの治療として、この悪循環を断ち切ることは重要です。
ペインクリニックにおける痛みの治療方法としては、神経ブロック、薬物療法、椎間板内治療、脊髄電気刺激、光線療法などが挙げられます。当院では、痛み治療の専門知識と技術を持った専門医が、症状や身体的所見、種々の検査から痛みの原因を診断し、適切で有効な治療を選択して行い、痛みからの解放と健康な日常生活への早期復帰をサポートします。

対象疾患

●腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの腰痛や下肢のしびれ痛
●頸椎症や頸椎椎間板ヘルニアなどの頚部上肢のしびれや痛み
●片頭痛や緊張性頭痛などの頭痛
●帯状疱疹や帯状疱疹後神経痛
●三叉神経痛
●手術後や外傷後の長引く痛み
●幻肢痛
●肩関節、膝関節の痛み
●バージャー病や閉塞性動脈硬化症などによる末梢血流障害による痛み
●顔面神経麻痺、顔面・眼瞼痙攣、突発性難聴

治療方法

神経ブロック療法

神経ブロックとは、神経やその近くに針で直接薬液を注入し、神経の興奮伝達を一時的、または長期にわたり遮断することです。これは、薬剤を口から服用して体全体に薬物が作用するのと違い、痛みを伝えている神経そのものに薬液を効かせる方法です。神経ブロックには約50もの種類があります。神経ブロックによる効果には、知覚神経ブロックによる除痛効果、交感神経ブロックによる血行改善効果、内臓神経ブロックによる内臓痛除痛効果、運動神経ブロックによる筋弛緩効果、痛みの悪循環を断ち切る効果があります。

椎間板内治療

椎間板に痛みの原因がある椎間板ヘルニアや椎間板症性腰痛に適応があります。治療法として椎間板造影・圧注入法、経皮的髄核摘出術、髄核高周波熱凝固法が挙げられます。

脊髄電気刺激療法

痛みは痛み信号が皮膚などから末梢の神経へ行き、脊髄を通り脳に伝わってはじめて感じます。脊髄刺激療法は痛みの信号が脳に伝わる前に、脊髄に微弱な電気を流すことで、痛みの信号を伝わりにくくすることによって痛みをやわらげる方法です。薬物療法や神経ブロックなどで、鎮痛効果が十分に得られない場合に考慮される方法です。腰椎手術後腰下肢痛、神経障害による痛み、幻肢痛、脊髄損傷後痛、帯状疱疹後神経痛などに適応があります。

薬物療法

痛みのメカニズムが明らかになるに従い、いろいろな鎮痛薬が開発されました。痛みの原因に応じた鎮痛薬の適正な選択を行うことが非常に重要となってきます。

麻酔科

ドクターのご紹介


当院では脳神経外科の手術麻酔に加えて、頭頚部外科、脊椎外科、形成外科などの外科手術を麻酔科指導医、麻酔科専門医の4人の麻酔科学会認定の専従専門医を中心に各科の手術を安全にできるように麻酔管理を行っています。
特に、脳神経外科などは手術中の脳神経障害を監視する目的で運動神経や感覚神経の伝導路の術中モニター(MEP:motor evoked potentialやSEP: sensory evoked potential)を測定することが通常で行われている。このMEPやSEPモニターには日常臨床でよく用いられる吸入麻酔薬が影響することが知られており、当院ではこの測定に影響しない静脈麻酔やプロポフォールと鎮痛薬レミフェンタニルを用いて麻酔管理を行っています。この麻酔では個々の患者さんの年齢や体格などを考慮することが重要で、コンピュータで制御した正確な薬剤投与システムを用い、同時に脳波モニターを測定して安全で確実な麻酔維持管理を行っています。
その他の外科系手術も含めて、全身麻酔は気管挿管操作の安全性及び確実性を確保するために近年普及してきているビデオ付き喉頭鏡を用いた気管挿管の導入を積極的に推進しています。また、全身麻酔中のバイタルサイン(血圧、脈拍、体温、呼吸状態など)を自動的に取り込み記録する自動麻酔記録システムを用いて医療のより安全な管理を行っています。
手術の前後には、専従麻酔専門医および手術室勤務の看護師が麻酔のリスクやポイントなどを丁寧に説明させて頂いておりますので、ご質問がありましたらご遠慮無くご質問ください。

病理診断科

ドクターのご紹介


病院病理診断科は日本病理学会認定病理専門医と日本臨床細胞学会認定細胞検査士資格を有する臨床検査技師から構成され、双方の協力によって精度の高い病理診断を目指しています。
病理診断医は患者さんの前に姿を現すことはほとんどありません。しかし「患者さんの病気は果たして何なのか?」「体の中で一体何が起きているのか?」を細胞レベルで「最終診断」しているのが病理診断医です。
最良の治療を選択するためには病気の正確な診断が必要です。当科では、内視鏡や手術などにより患者さんから採取された病気の一部や、おしっこなどから採取された細胞から顕微鏡標本を作製し、病理診断を専門とする医師である病理専門医が顕微鏡下に細胞形態や構造を観察し、必要であれば病的な細胞が作り出すタンパク質や病気の原因となる遺伝子の検査を行うことにより正確な病名を診断しています。
また、手術で切り取られた臓器からは病気がどのくらい進行しているかなどの最終診断をしています。これらの結果を主治医に報告することで患者さんは最も効果が見込める最先端の治療を受けることができるとともに、手術後に受けるべき最も良い方針を決定することができます。
さらに、CTやMRIなどの画像検査や血液検査では病名がはっきりとはわからない場合は、手術中に病気の細胞そのものを顕微鏡で直接観察することで病名を診断し、最も良い手術の方法を術者に報告することができるようになります。また、切除断端の組織を調べることにより、がんの取り残しのない正確な手術や、身体に必要以上の侵襲を与えない高レベルな治療を提供することが可能となります

病理診断科を設置している病院は決して多くはありませんが、当院では病理診断科があることで、患者さんに大きな利益をもたらし、高レベルな医療を提供しています。

診療内容

病理組織診断

内視鏡検査で見つかった胃潰瘍、手で触れる胸のしこり、皮膚のできものなどは、見た目だけではそれがどのような病気か正確にはわからないことも少なくありませんし、見た目が同じでもたちの良いものも悪いものもあります。このような時は、病気の一部を採取し、病理診断を行うことにより正確な病名が決定され、病気の治療方針が決まります。これを生検組織診断と呼びます。
手術で切除された臓器は、病気の全体を顕微鏡レベルで観察することで、病気の診断はもちろん、たちの良いものなのか悪いものなのか、病気がどのくらい進行しているか、転移はないか、治療はどのくらいの効果あったかなどを診断し手術後の治療方針を決定します。

検査から治療、病理診断の流れ画像
検査から治療、病理診断の流れ

全身のがんは百種類以上、脳腫瘍一つを取っても数十種類以上があり、その性格はさまざまです。これらを顕微鏡で観察することにより、小さいうちから転移し頻繁に再発するようなたちの悪いものなのか、手術でしっかり取り切れば大事には至らないものなのか、治療がよく効くタイプなのかなども病理専門医が診断しています。

術中迅速診断

手術中に採取された病変を、特殊な方法用いて顕微鏡標本とし、病理診断を行うことを術中迅速診断と言います。病変が悪性か良性か、病変が取り切れているかどうか、リンパ節や腹膜への転移がないかなどを約15分から20分程度で診断し、執刀医に直接連絡することでリアルタイムに手術方針を決定することができます。
術中迅速診断によってがんの種類ごとに最適な術式が選択可能になります。必要以上に大きく切り取る必要がなくなり、さらに切り口(切除断端)を調べることでがんの取り残しの可能性を低くするなど、術中迅速診断ができることは、当院で手術を受ける患者さんにとても大きなメリットがあります。

細胞診

喀痰や尿、お腹や胸に貯まった水(それぞれ腹水、胸水と言います)に混じっている細胞や、体の表面に近い場所にあるリンパ節、しこりから細い針で採取した細胞、あるいは子宮がん検診などで子宮頚部や子宮内膜からこすり取った細胞をプレパラートに塗りつけて特殊な染色を行い、病気のスクリーニング(振り分け)や診断を行います。

細胞診の流れ画像
細胞診の流れ

当科では細胞検査士の資格を持つ臨床検査技師がスクリーニングを行い、疑わしい細胞や悪性と判断される細胞を病理専門医が最終診断しその結果を主治医に報告しています。

胸水中の肺がん細胞の画像
胸水中の肺がん細胞(肺腺がん)の写真

免疫組織化学的検査と最新の分子標的療法

免疫反応を利用し、がんが作り出すタンパク質を検出することで、多種多彩ながんを診断する免疫染色が施行可能です。人間の正常な細胞や構造物に存在するタンパク質を対象とすることで、正確な進行度やがんの広がりを評価することも可能です。
近年、病気の細胞に存在し、特定の働きをするタンパク質や遺伝子などをターゲットとして、効率よく治療を行う「分子標的薬」がさまざまながんで開発され、特に乳がんや大腸がん、リンパ腫などの血液腫瘍で高い治療効果を上げています。当科では、乳がんや胃がんにおけるHER2の発現、大腸がんではEGFRの発現などを調べ、これらの分子標的治療の適応についても病理専門医が正確な診断を行い最新の治療を提供しています。

浸潤性乳管がんの画像
乳がん(浸潤性乳管がん)にHER2の強発現が見られハーセプチンⓇが適応になります

病理解剖

不幸にも病気で亡くなられた患者さんを、ご遺族の承諾の元に解剖させていただく病理解剖を担当します。事故や犯罪にかかわる司法解剖とは異なり、生前の診断は正しかったのか、病気はどれほど進行していたのか、適切な治療がなされていたのか、治療の効果はどれくらいあったのかなどを解剖により診断します。病理解剖により得られた診断や知見は今後の医療の発展に大きく生かされることとなります。

歯科口腔外科

ドクターのご紹介


当科は頭頸科とのチーム医療で頭頸部がん、入院患者さんの歯科疾患(当院関連施設への訪問歯科診療を含む)、がん周術期の口腔管理(頭頸部・消化器・呼吸器領域の悪性腫瘍手術・放射線治療・化学療法)を中心に診療しています。がん治療には、外科療法、化学療法、放射線療法がありますが、患者さんの口腔内を衛生的に保つことで、がん治療の合併症が軽減し治療成績が向上することが分かってきました。当科では治療法に応じ、以下のような歯科的介入を行っています。
新患、紹介患者の診療は行っていません。

療法

外科療法

口腔がん、咽頭がん、喉頭がんなどの手術に伴う傷に口腔の細菌が付着、繁殖しないよう、術前、術後を通して、歯科医師、歯科衛生士、看護師とのチームで専門的口腔ケアを行っています。これにより、傷の治りが早く、誤嚥性肺炎などの術後感染のリスクを軽減させ、ひいては在院日数の短縮、投薬量の減量など様々な効果が期待されます。また、口腔の手術により生じる顎の欠損に対し、顎義歯等を作製し機能や審美性の回復を図り早期に食事ができるようにします。

放射線療法

頭頸部領域への照射により起こりうる口腔粘膜炎、口腔乾燥による辛い症状の軽減を口腔ケアや保湿、放射線防護用マウスガードの作製などにより図ります。また、放射線治療後に発生する多発齲蝕に対し、予防処置やフッ素による洗口を行います。さらに放射線の影響による顎骨骨髄炎が起こらないように、治療開始前より必要な歯科治療を行います。

化学療法

治療開始前から口腔管理をすることにより、抗がん剤の副作用による口腔粘膜炎を最小限に留め二次的感染を軽減します。また、治療中、免疫力の低下により、歯周炎等の慢性疾患が増悪しないよう前もって歯科治療を行います。


以上のように、がん治療が円滑に進み、口から食事が摂れることで闘病意欲を支えられるようスタッフ一丸となり誠意を持って患者さんをサポートしています。

口腔がん早期発見(今すぐにできるセルフチェック法)

口腔がん(舌・口腔底・歯肉・口蓋・頬粘膜・口唇)は、他の臓器のがんと違い口の中にできるのでご自分でも簡単に見つけることができます。2週に一回は鏡の前でセルフチェックをし、早期発見に努めましょう。

セルフチェックの方法

必要なものは手鏡とティッシュです。

①大きめの手鏡を用意します。
②義歯は外しましょう。
③上下の唇の裏側や歯肉を観察しましょう。
④頬を指で引っ張り頬の内側を観察しましょう。
⑤裏側の歯肉を観察しましょう。
⑥口蓋は少し上を向き色の変化や指で触れて、しこり、腫れがないか確認しましょう。
⑦指で、舌の表面、左右の側面、舌の裏側、口腔底を触り、腫れ、しこり、ただれ、痛みがないか確認しましょう。

セルフチェック項目
あり  なし 粘膜に赤いところ、白くなったところがある。
あり  なし なかなか治らない腫れ、しこりがある。
あり  なし 2週間たっても治らない口内炎がある。
あり  なし 合わない入れ歯を無理して使っている。咬むと痛みがある。
あり  なし このごろ食べ物が飲み込みにくくなってきた。舌、頬の動きが悪い、麻痺やしびれがある。

定期的なチェックとともに上記のような症状が1つでもある場合は、早めに専門病院を受診することをお勧めします。

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